※本記事は英語版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。
『Nour: Play With Your Food 』(以下『Nour』)で作られた料理に、ふたつと同じものはありません。食べ物とドリンクの美学を追求したゲーム『Nour』では、絶対にお母さんに叱られる、食べ物で遊ぶ夢が叶います。
この美しく、カオスでありながらもどこか心地よいゲームには、プレイヤーの皆さんそれぞれが生み出す、ユニークな調理法や盛り付けを反映したサウンドトラックが必要でした。そして当初サウンドトラックだったものが、最終的には楽器となり、『Nour』を形作っていったのです。
甘いメロディーを奏でながら、料理やリズム、歌声などを駆使して環境を操っていきましょう。初心者でも熟練者でも、無鉄砲でも注意深くとも――すべてのシェフは、自分の料理に合った曲を作ることができます。
こんにちは、音楽家でありデザイナーでもあるMaximilian C Muellerです。本日は、『Nour』の音楽のマイスターとして、皆さんに私たちのゲームを紹介させていただきます。本作は、James Morrison(Fluke Nukes)と私が開発した、目と耳のご馳走を作るゲームです。
雰囲気: 味付け
あなたの一品に合わせるBGM。
音楽はヒートアップし、クールダウンし、上昇し、混ざり合い、そして溶けることもあります。本作の音楽は、皆さんのプレイによって常に変化する、ユニークな素材の組み合わせです――そのため、同じ音楽は生まれません。自分がするさまざまな操作で、オーディオも変化していくのです。
アダプティブゲームの音楽は、”水平”(例:部屋に入ると音楽が変わる)と”垂直”(例:戦闘に入るとテンポが上がったり、楽器の要素が加わったりする)に分類されることが多くあります。一方『Nour』の音楽は、その両方を合わせ持つ”斜め”の音楽です。プレイヤーの行動とその頻度は、大量の材料からまとまった曲を生み出すためのレベルを決定づけます。偶然性に任せたこの変動する尺度は、シーンの音を導く指揮者の役割を果たします。つまり簡単に言えば、皆さんが作る料理が曲を作るということです。
ぜひ実際にゲームで作った、いくつかの音楽を聴きながら、読み進めてください!
マシュマロのフルートと麺のハープ
料理を作ってメロディーを生み出し、料理を作って歌を作曲。
シーンに食べ物が登場するたびに、そこには音もついてきます。例えば、マシュマロは軽快な笛の音を奏でます。では氷はどうでしょう? それはグランドピアノの高音をスタッカートで弾いた音びなります。 これらの音を選ぶ作業は楽しく、それらの音をゲーム内で試してみるのもとても楽しい体験でした。また、不愉快な音を奏でてしまう心配は不要です――本作では、ボタンを押すたびに音程のあった音が奏でられるようにデザインしています。実際のゲームプレイでは、食材が打楽器の役割を果たし、衝撃を加えると決められた音を奏でます。氷を山積みにして、そこに何かを叩きつけて、氷の音楽を爆発させるのも、ぜひ試してみてください。
『Nour』における食材の楽器化の最も良い例は、「Noodle harp」(麺のハープ)です。麺を作り、磁石を使ってエレガントな傾斜(または変な形)になるように配置し、それをフリーズさせます。ハープを演奏する方法はいろいろありますが、私のお気に入りは、餃子を転がして下降させメロディを奏でる方法です。
壊れたトースターと正常なトースターの組み合わせでビートを制作。
『Nour』の各シーンには、ユニークなゲームプレイのシステムと、それに合わせた音楽のシステムが用意されています。「Toaster」では、トーストを作ると同時に、オーケストラを指揮します。バイオリン、ファゴット、ティンパニのうねりに乗ってパンが宙を舞うはずです。また、トースターが壊れるほどのトーストを“焼け”ば、ファゴットがベースに変わるなんてことも……。家電製品の破壊は、ミュージシャン(材料)の性質を変え、煙たいトースターを808や、スネア、ハット、キックなどに変化させます。壊れたトースターで、燃えるようなビートを作るのもいいですが、素敵なオーケストラの伴奏を加えるために、正常なトースターも壊さずに残しておきましょう。
「Toaster」では夜になると、ビートに合わせて火が踊り始めます。
「Meat Grinder」では、穏やかでありながら不穏な環境に食べ物が生み出されていきます。プレイヤーがハンドルを回して食べ物を挽くと一転して、食べ物が挽かれるだけでなく、その音も押し出されてきます。これには、ヘビーメタルが関係しているとかいないとか……。
さらにプレイヤーは、環境を変化させることで、ゲーム音声をマクロ的にもミクロ的にも操作することができます。この関係は相互に影響し合い、音楽を通して環境を変化させることもできてしまいます。
イースターエッグに隠された「味噌汁」音楽のジャズカバー!
Sonic Controller:インターフェイスとしてのオーディオ
音楽を利用して、食べ物を操る。
『Nour』の音楽は、単なるサウンドトラックではなく、インターフェイスとしても機能します。プレイヤーは、ゲームプレイの慣れ親しんだ方法、もしくは新しい方法で、シーンやコンテンツに影響を与えることができます。
このシステムは、『Nour』の中心となる探索と実験を勧めることを目的としています。そのため、リズムシステムにはグリッドがありません。ユーザーの入力は相対的に処理されるため、さまざまなメロディーを認識し、作り出すことができます。
リズミカルなプレイでは、リソースが生成され、これを使って特別な力を発揮することができます。例えば、食べ物を凍らせて彫刻を作ったり、昼を夜に変えたり、そして音楽に合わせて食べ物を踊らせたりすることも可能です。
これらの効果を組み合わせることで、音楽的にも物理的にも目まぐるしいほどの可能性が生まれます。踊る角砂糖を凍ったオレンジの檻に閉じ込めれば、ダイナミックな楽器ができあがります――角砂糖は、音楽に合わせて振動し、閉じ込められている壁にぶつかります。また、ナイトモードを使って、どんちゃん騒ぎ起こしましょう! プレイヤーの皆さんがどんなアイデアを出してくれるのか、シーンからどんな音を引き出すことができるのか、とても楽しみです。
秘密のリズムシークエンス(コンボ)は、ゲームをコントロールするもうひとつの方法を提供します。今回は特別に、ひとつだけ皆さんに伝授します――4分音符を4つ、2分音符をふたつ、全音符をひとつ演奏して、時間を遅くしてみてください。また、バランスを取るために、ボタンを全力で連打して、ワープモードを起動させてみましょう。
このようなリズミカルなシステムが、バーチャルな空間を踏みしめたり、切り裂いたり、オカリナを演奏したりして切り抜けてきたプレイヤーにとって、楽しく、親しみやすく、わかりやすいものであることを願っています。しかしDualSense™ コントローラーは、新たな可能性をもたらしてくれました。食べ物で遊べるだけでなく、叫んだり、歌ったり、吹いたりすることができるのです! 歌のルート音を歌えば、黄金のエネルギーフィールドで物体を息が続く限り浮かすことができます。またマイクに向かって息を吹くと、風で物体を吹き飛ばすことも可能です。さらには、叫んで食べ物をチャージし、お皿に力技で盛り付けることもできてしまいます。ここまですると、爽やかなソーダを一口飲みたくなりますよね? そうなれば声やチェロなどで音程を上げてみましょう!
「シーケンスエフェクト」は、特定の音符の配列によって引き起こされます。このシーケンス(4, 4, 4, 4, 2, 2, 1)は、キーの変更を促し、音楽とゲームプレイの両方をスローダウンさせます。
(左)ソフトドリンクの柑橘類を音声で浮かび上がらせる
(右)「Diner」での突風を巻き起こす
Panicの前作『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』は、そのゲームプレイに反応するミュージックスコアが高く評価されました。そんなこともあり『Nour』では、最初からオーディオの限界を超えなければならないと考えました。私たちは、ゲームを手がけるのは初めてなので、C#言語で何ができるのか理解していませんでしたが、結果的にたくさんのことができると判明しました! 急激な学習曲線を辿るワイルドな旅でしたが、私たちのスキルアップに付き合ってくれた、才能に溢れ、協力的で忍耐強いチームに感謝しています。
この夏、皆さんに『Nour: Play With Your Food』を体験していただけることを、とても楽しみにしています。
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