PlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『Maquette(マケット)』は、開発スタジオ「Graceful Decay」のデビュー作となる一人称視点のパズルゲーム。フランス語で「模型」を意味するタイトルどおり、『Maquette』の世界にはフィールドをそのまま再現したミニチュア模型が設置されている。このミニチュアはフィールドと連動しており、ミニチュア内のオブジェクトを動かせば、フィールド上の物体も同じように移動。フィールドで拾ったアイテムをミニチュア内に置けば、フィールド上に巨大化した物体が出現する。この特性を利用し、フィールドに橋をかけたり、高所に上るスロープを設置したりしながら、パズルを解いていこう。
PlayStation®Plus加入者は2021年3月2日(火)~4月5日(月)まで、「フリープレイ」対象タイトルとしてPS5版を無料で楽しむことができる。
※フリープレイの対象はPS5向けのみになります。PS4向け『Maquette』はフリープレイの対象ではありません。
ミニチュアと現実が連動する、だまし絵のような謎解きパズル
『Maquette』の世界には、プレイヤーが歩き回る世界とまったく同じ構造をしたミニチュア模型が存在する。プレイヤーは一人称視点でフィールドを移動しながら、このミニチュアを使って謎を解くことになる。
ユニークなのは、ミニチュアと現実のフィールドが連動していること。ミニチュアに置かれた箱を動かせば、フィールド上の箱も移動。巨大な箱が行く手を阻んでいたとしても、ミニチュア内の箱を動かせば先に進むことができる。
さらに面白いことに、この特性を利用してモノの大きさを変えることもできる。例えば、現実世界では手で持てるサイズのカギも、ミニチュア内にそのまま置くと巨大なオブジェクトに。建物と建物の間を置けば橋になり、塀に立てかければスロープになる。カギを橋のように置いた状態でフィールドに戻れば、現実世界にも足場ができているというわけだ。
逆に、カギ穴に対して大きすぎるカギを拾ったら、フィールド上に落としておく。すると、ミニチュア模型の同じ場所で、小さくなったカギを拾うことができる。
このようにミニチュア模型とフィールドの連動を活かし、アイテムを自在に拡大縮小させることでさまざまな謎を解いていく。最初はこの世界の法則を把握しきれず「どういうこと?」と首をひねったが、とにかくいろいろ動かしてみると要領がつかめてくる。ミニチュアと現実世界はリアルタイムで連動しているので、自分の取った行動によって何が起きているのか視覚的に伝わってくるのも楽しい。
とはいえ、頭を柔らかくしないと、なかなか解けない謎も頻出する。わかってしまえば「なんだ、そういうことか!」と思うような解法も、思考が硬直化するとさっぱり思い浮かばず、えんえん悩み続けるはめに。この試行錯誤タイムが長いほど、突破口を見出した時のスッキリ感は格別! 頭の中に立ち込めていた靄が、パーッと澄みわたるような晴れやかな気分を味わえるはずだ。
頭を悩ます仕掛けが続々出現! ひと筋縄ではいかない謎の数々
ステージが進むにつれて、パズルのバリエーションも増えていく。ミニチュア連動、サイズ変更といったギミックに加え、ロジックやちょっとしたジャンプアクション(と言っても簡単なものだが)を使った謎も用意されている。
序盤の難関は、宝石のステージだろう。フィールド上には、同じ色の宝石を持っている時しか突破できないバリアがある。青い色の宝石を持っている時には青い色のバリアを、ピンク色の宝石を持っている時にはピンクのバリアをかいくぐれるのだが、まぁそう簡単にはいかない。青いバリアを抜けた先には、ピンクのバリアがある。しかし、プレイヤーが持てるアイテムはひとつだけで、青とピンクの宝石をふたつ同時に持つことはできない。ならば、このピンクのバリアはどうすれば突破できるのか。ミニチュアをいろいろな角度から見まわしたり、フィールド上でヒントを探したりしながら、答えを見つけなければならない。
ほかにも、プレイヤーがネズミほどの小さな体になるステージ、ジャンプアクションをうまく使ったステージ、迷路のような道をえんえん歩き続けるステージなど、バリエーション豊かな謎が用意されている。『不思議の国のアリス』で体が大きくなったり小さくなったりするような、もしくはエッシャーの騙し絵に入り込んだかのような、不思議な感覚を味わえる。
しかも、パズルの解法もひとつとは限らない。もっとスマートな解き方があるはずだけど、ジャンプアクションを駆使して強引にクリアする……なんてこともできてしまう。柔軟な発想力、ルールを発展させて考える応用力が求められるので、「最近頭が固くなったような気がする」という人は、ぜひチャレンジしてほしい。4、5時間でクリアできるコンパクトなゲームだが、脳のいろいろな部分が刺激される感覚を味わえる。もしかしたら、自分自身の脳の衰えに打ちのめされるかもしれないが……。
パズルとともに紐解かれる、あるカップルの思い出
と、ここまでパズルについてお伝えしてきたが、実はこのゲーム、ストーリーにも力が入っている。いや、むしろストーリーとパズルの見事な融合こそ、『Maquette』の魅力と言ってもいいだろう。
ゲームの冒頭で、まず始まるのがマイケルという男性のモノローグ。物語は、彼とその恋人ケイジーとの思い出をたどるようにして描かれていく。なお、音声は英語だが、日本語字幕にも対応。英語版音声を担当するのは、ドラマ『FRINGE/フリンジ』リンカーン・リー役のセス・ガベルさんと、映画『ジュラシック・ワールド』でクレア・ディアリング役を務めたブライス・ダラス・ハワードさん。実生活では夫婦のふたりが、カップルを演じているのも心憎い演出だ。
ある夜、マイケルがカギを探していると、思い出の品々が詰まった箱が見つかる。中から出てきたのはスケッチブック。かつてマイケルとケイジーが交代で絵を描いていた、懐かしい一冊だった。このスケッチブックをめくり、絵を見ながら当時を思い出すようにして、マイケルとケイジーの過去が紐解かれていく。
ふたりが出会ったのは、とあるカフェ。隣の席に座ったふたりは、マイケルがスケッチブックを手にしていたことから会話が広がり、意気投合する。そしてデートを重ね、思いを伝え合い、やがて一緒に暮らすことに。ふたりのラブストーリーはパズルのステージともリンクし、夏祭りの思い出が語られる時にはその会場が、ふたりが暮らし始めた時には小さなかわいらしい家が、謎解きの舞台となる。
だが、いつしかふたりの関係にも影が差し始める。すると、マイケルの心象風景を表わすかのようにステージも荒廃。悩み疲れた心を表わすかのように、薄暗い迷路を進むステージも出現する。同様に、最初は軽やかに鳴り響いていた音楽も、重苦しいSEへと変わってしまう。マイケルとケイジーの仲はどうなっていくのか、ふたりの恋を見守りたいという気持ちもパズルを解く原動力になる。
しかも、ゲームを進めていくと、このパズル自体がふたりの関係を象徴しているのではないかと思えてくる。ミニチュア模型の中で起きた出来事はささやかかもしれないが、現実世界では大きな影響を及ぼす。それと同じように、ほんの些細な出来事だと思っていたことが、ふたりの間に大きな亀裂を生むこともある。「はいはい、そういうことね」とわかったつもりになっていたことが、まったく的外れだったりするのも、恋愛とよく似ているではないか。
ある男女が出会い、恋をして……という『Maquette』の物語は、言ってしまえばどこにでもあるラブストーリーにすぎない。だが、ありきたりだからこそ「これは私の物語かもしれない」と思わせてくれるところがある。例えば、何もかもが運命的に思えた恋の始まり。占いで悪い結果が出ても、未来を信じたこと。一緒にいるだけで、何もかもが幸せだったこと。胸をチクリと刺す違和感が、少しずつ増えていくこと。かわいく思えた彼女の振る舞いが、わずらわしくなっていくこと。真面目な話をしようとしているのに、彼はすぐ部屋を出ていってしまうこと。すれ違っていくふたりの心は、果たしてパズルのように元通りになるのだろうか。結末は、その目で確かめてほしい。
『Maquette』プレイ動画
※記事内のプレイ動画に追加シーンを加えたものです。
Maquette
・発売元:Annapurna Interactive
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:パズル
・配信日:好評配信中
・価格:PS5 ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
PS4 ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)
※PlayStation®Plus加入者は2021年3月2日(火)~4月5日(月)まで、「フリープレイ」対象タイトルとしてPS5版を無料で楽しむことができます。
※フリープレイの対象はPS5向けのみになります。PS4向け『Maquette』はフリープレイの対象ではありません。
※ダウンロード専用タイトル
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