非常口の"あのヒト"が動いたら……? パズルアドベンチャー『The Pedestrian』プレイレビュー!

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非常口の"あのヒト"が動いたら……? パズルアドベンチャー『The Pedestrian』プレイレビュー!

PlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『The Pedestrian』は、アメリカ・オハイオ州のスタジオ「Skookum Arts」が制作したパズルアドベンチャー。「歩行者」を意味するタイトルどおり、街角の案内標識をモチーフにした一風変わったゲームになっている。非常口や公衆トイレなどの標識に描かれる人間型ピクトグラムを操り、ゴールへと導こう。

言葉による説明はなし。ルールは交通標識のように視覚的でわかりやすい

ピクトグラムは、言葉がわからなくてもひと目見れば情報が伝わる視覚記号。交通標識やトイレなど街なかでよく使われているため、日頃から目にする機会も多いだろう。

このゲームでは、キャラクターやギミックなどがすべて簡略化されたピクトグラムで表現されている。そのため、テキストによるルール説明は一切なし。街の標識や看板と同じように、「あの扉までこの人を連れていけばいいんだな」「このスイッチで仕掛けが動くのか」と、画面上に示されたサインを見れば何をすればいいのか直観的にわかるシステムになっている。

背景は3Dで描かれているが、パズルは2Dのパネルの中で解いていく。パネルに描かれた人間型のピクトグラムは、走ったりジャンプしたりとアクションゲームのように動かすことが可能。さらに、△ボタンを押すと視点が切り替わり、複数のパネルを線でつないだり、パネルそのものを動かしたりできる。例えば、パネルの扉と扉を線でつなげば、ふたつのパネルの間を自由に行き来することが可能に。パネルとパネルをうまくつなぎあわせ、ゴールまでキャラクターを導くのがゲームの目的だ。

パネルとパネルを接続する線は自由につなぎ直せるが、一度でもキャラクターが通過したあとは要注意。この状態で線をつなぎ直すと、キャラクターが初期位置に戻され、そこまでに動かした仕掛けもリセットされてしまう。一度通った線は斜線で表示されるので、簡単に見分けがつくはずだ。後半になると、あえて線をつなぎ直してリセットする技を使う場面も。

パネルをどう配置し、どうつなげるか。そして、パネルの中のキャラクターをどう動かすか。このふたつの要素を組み合わせ、試行錯誤しながらパズルを解いていくのがこのゲームの面白さ。アクション性も多少あるが、問われるのは反射神経よりも思考力。じっくり考えながら、バリエーション豊かなステージを進んでいこう。

「?」が「!」になる、ひらめきの瞬間が気持ちいい!

序盤はパネルの配置を少し入れ換えるだけでサクサク解けるが、ステージが進むと徐々に頭を悩ます場面が増えていく。パネルの数が増えて全体の構造そのものが複雑化するうえ、カギや足場がないと行けない場所、ビームが出る仕掛け、コードをつなぐと通電する装置といったギミックも出現するためだ。

ステージが進むにつれてギミックの種類も増え、後半になると、最初は何がなんだかわからない仕掛けも登場する。文章によるルール説明もないため、初めて出てくるギミックは「え、これどういうこと?」とその仕組みを理解するところから始めることに。あれこれ悩んでギミックを動かしながらルールを探り、「あ、そういうことか!!」と解明できた瞬間のスッキリ感は格別だ。

なかでも頭を悩ませたのが、「ワープ扉」(※文章による説明がないので勝手に命名)。これは斜線が入った扉で、他のパネルに重ねると奥の場所にワープできる。移動の自由度が増すので便利と言えば便利だが、一方通行で元のパネルには戻れないため使いどころが難しい。

さらに厄介なのは、終盤に出てくる「緑のプシュプシュ」(※こちらも勝手に命名)。緑の液体が入ったボトルに線をつなぐとパネルが緑になるのだが、それによって何が起きるのかが悩みどころ。ぜひ自分自身で法則性を見つけてほしい。

ルールを把握したうえで、試行錯誤しながら解法を探していく過程もまた楽しい。「この仕掛けを動かさないとカギが取れない」「このパネルを動かしたいのに、パネルが固定されて移動できないようになっている」など、ゲームが進むにつれて頭をひねる場面が増えていく。だが、ああでもないこうでもないと考えながらパネルを動かしていると、ふと「こうすればいいのか!」と解法をひらめくことがある。この「?」が「!」になる瞬間のスッキリ感がなんとも言えず気持ちいい。これこそ、『The Pedestrian』の醍醐味と言っていいだろう。

難易度のバランスもちょうどいい。あまりにも難しすぎると投げ出したくなってしまうところだが、どの問題も少し時間をかけて考えれば何とかなるレベル。プレイする人にもよるが、どんなに難しい問題でも10~15分ほどあれば解けるという絶妙なさじ加減になっている。開発チームによると6年以上かけて制作したそうだが、それも納得。難易度の上昇カーブがほどよく、実に丁寧に作り込まれているのがわかる。

ただし、「え、どうすればこんなの解けるの?」という初見の戸惑いから、「なるほど、こうか!」という快感を味わうまでのスパンが短いので、やめ時が見つからないのは困りもの。次から次へと夢中でパズルにチャレンジしてしまい、気づけば6時間ほどかけて一気にクリアしてしまった。柔軟な発想力と論理的思考力が試されるゲームなので、小学生がプレイすれば教育効果にも期待できそう。もちろん、大人がチャレンジしても十分すぎるほど楽しめる。1人プレイ用だが、家族や友達と一緒にプレイすれば「あのパネルをあっちに動かせばいいんじゃない?」「いや、そうじゃないって!」などと盛り上がること間違いない。

2Dと3Dが見事に融合。ラストには驚きの展開が待っている!?

パズルは基本的に2Dのパネルの中で完結するが、時にはパズルを解くことでエレベーターや電車が動き出すなど、3Dの世界に影響を与えることもある。さらに、ラストステージでは驚きの展開も! 2Dと3Dを融合した見事な演出になっており、なぜ背景が3Dグラフィックで描かれていたのか、その理由もわかるはずだ。パズルに夢中になると2Dの標識ばかりに集中してしまうが、美しく描き込まれた3Dグラフィックは必見。倉庫、地下鉄、大学、ビルの屋上などロケーションもバラエティに富んでおり、目を楽しませてくれる。

ほかにも、人間型ピクトグラムが頭や体を掻くようなしぐさをしたり、場面転換とともにBGMが印象的に流れたりと、細かい演出までこだわりが感じられる『The Pedestrian』。シンプルでコンパクトだが、愛すべき作品に仕上がっているため、パズルゲームが好きな方はぜひチャレンジしてほしい。固くなった頭を柔らかく解きほぐす、脳のトレーニングにぴったりの1本だ。

『The Pedestrian』プレイ動画

非常口の"あのヒト"が動いたら……? パズルアドベンチャー『The Pedestrian』プレイレビュー!

※記事内のプレイ動画に追加シーンを加えたものです。


The Pedestrian

・発売元:Skookum Arts LLC
・フォーマット:PlayStation 5 / PlayStation 4
・ジャンル:パズルアドベンチャー
・配信日:好評配信中
・価格:PS5 ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
    PS4 ダウンロード版 販売価格 1,980円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)

※PS5とPS4、両方のゲームが含まれています。追加購入は必要ありません。


PS.Blogの『The Pedestrian』記事はこちら


『The Pedestrian』公式サイトはこちら(海外サイト)

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© 2021 Skookum Arts, LLC

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