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『天穂のサクナヒメ』は、鬼と闘う爽快なコンボアクションと稲作シミュレーション要素が融合した、ユニークな和風アクションRPG。日本伝統の稲作手法を取り入れた米づくりが注目を集め、発売2週間で世界累計出荷本数50万本(*)を突破した話題沸騰中のタイトルだ。
*世界累計出荷本数には、パッケージ版の出荷確定本数とダウンロード版およびPC版の販売数を含みます。
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主人公のサクナヒメ(サクナ)は、武神の父と豊穣神の母を持つ神様。神界で自堕落に暮らしていたが、人間たちと出会ったことで災難に巻き込まれ、鬼が巣食う「ヒノエ島」の調査を命じられることに。かくしてサクナは、5人の人間たちとともにこの島で生活することとなる。果たして、サクナたちの運命は……!?
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ゲームの遊び方や流れについては、以下の記事もぜひチェックしてみてほしい。
米は力だ! 稲作とアクションRPGを融合させた話題作をプレイレビュー!
「ヒノエ島」に降り立ったサクナたちは、田んぼで米を育てつつ、島内を探索しながら鬼退治に励んでいく。稲作と戦闘は密接に結びついており、上質な米をたくさん育てるほどサクナの能力も上昇。つまり、米づくりの成否にサクナの運命がかかっているというわけだ。そんな異色のアクションRPGをプレイレビュー。「噂に聞いて気にはなっているけれど、まだやっていない」というあなたのために、サクナたちの農村暮らしの模様をお届けしよう。
『天穂のサクナヒメ』プレイ動画
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シンプルで健やかな昔の農村暮らしに癒される
かくして始まった、サクナと人間たちの農村暮らし。プレイヤーはサクナとなり、鬼がはびこる島の「探索」、サクナの能力向上につながる田んぼでの「米づくり」、探索や稲作の効率化につながる「料理・農具づくり」に精を出すことになる。
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アクションパートのチュートリアルを終え、村に入ると目の前に広がるのはのどかな田園風景。いきなりキジバトの「ホーホー ホッホー」という独特の鳴き声が聞こえてくるゲームなんて、ほかにはなかなかないだろう。拠点となるのは小さな民家だが、遠くに見える山々が美しく、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の情景を楽しませてくれる。夏はトンビ、秋は鈴虫と、季節の移り変わりを耳で感じられるのも趣深い。
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ガチすぎる稲作や羽衣を使った軽快なアクションが話題だが、実はこのゲーム、「昔の暮らしシミュレーター」としても秀逸だ。日の出とともに起きたら田んぼを手入れし、行く先々で外敵と闘いながら狩猟と採集を行なう。夜になったら、家族のような仲間と囲炉裏を囲み、温かい夕餉(ゆうげ)とおしゃべりを楽しむ。残った食材は加工して保存し、それでも腐ってしまったら肥料にして稲作に役立てる。つつましい暮らしぶりが、現代人からするとかえって新鮮に映る。
ゲームが進むと、サクナたちが暮らす地に動物たちもやってくる。犬をなでたり抱っこしたり、本筋を離れてのんびりした時間を過ごすのもいいだろう。
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農作業で汗を流す喜び、機織りや鍛冶といった手仕事の尊さ、旬の恵みを食べるありがたさ、水を張った田んぼの美しさ。シンプルかつ健やかな”清貧”生活を送っていると、不思議と心が澄みわたっていく。日々の仕事に疲れた人、雑事に振り回されている人には、ぜひこのプリミティブな暮らしを味わい、心癒されてほしい。「ゆったりした生活を楽しみたい」という人は、稲作や戦闘の難易度を下げてプレイするのがおすすめだ。
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米づくりは水が命! ガチすぎる稲作で農家の苦労に思いを馳せる
ここからは、米づくりについてお伝えしていこう。すでに話題になっているように、このゲームの稲作は超本格的。稲作1年目はできることが限られているが、2年目以降は自分なりに工夫しながらより細かな工程を体験できる。
田植え期には、田んぼを耕す「田起こし」、より良い種籾を選ぶ「種籾選別」、箱に入れた苗を育てる「育苗」、育った苗を田んぼに植え替える「田植え」を行ない、夏場の育成期には「水やり」、肥溜めで熟成させた堆肥を撒く「肥料」、雑草を取り除く「草むしり」に精を出す。
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いよいよ稲が実ったら、鎌を使って「稲刈り」、刈り取った稲を干す「稲架掛け」、稲から籾を取る「脱穀」、籾を米にする「籾摺り」。戦国時代あたりをモチーフにしているため、当然ながらすべて手作業だ。米ができるまでの工程の複雑さ、気を配ることの多さに、農家の方々への感謝と畏敬の念が湧き上がってくる。
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しかも、ヒントは少なく「田植え直後の水量は足首がつかるくらい」など、大まかなアドバイスがもらえるのみ。ゲームを進めると「農書」が手に入り、より良い米を作るための手がかりがわかるが、それも”正解”ではない。米の出来を見ながら、「収穫量が少ないのは、出穂後の水量が少なすぎたからだろうか」など、ひとつひとつ試行錯誤しながら翌年以降の米づくりを工夫することになる。気分はもう農家だ。
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中でも重要なのが、水量の管理だ。以前、農家の方から「稲作は水管理が命」と聞いたことがある。田植えの時は浅水、そこから水量をキープし、三次分けつ期には水を抜いて中干しをする。天気や気温によって田んぼの水量が変動するので、島内の探索中に雨が降ると、田んぼの水かさが気になって「早く帰って水量を調整しなければ!」とソワソワしてしまう。なるほど、台風の時に、つい田んぼの様子を見に行ってしまう人はこういう気持ちだったのか。
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こうして丹精込めて作った米が、そのままサクナのパラメータに直結するのもユニークだ。収穫期を過ぎると、サクナのパラメータが面白いほど上がり、まさに「米は力」だと思い知らされる。サクナを育成すると同時に、田んぼを育てているような愛着も沸いてくるはずだ。
羽衣を駆使した軽快アクションで、いざ鬼退治!
稲作と並行して行なうのが、島内の探索だ。農具と伸縮自在の羽衣を武器に、サクナは島内のダンジョンに挑んでいく。伸ばした羽衣で壁や天井を伝ったり、鬼をつかんで一瞬にして背後に回り込んだり、羽衣を使ったトリッキーなアクションは爽快感抜群。鬼を宙にはね上げて連続攻撃を叩き込んだり、相手の攻撃をはじいたり、アクションの腕が上達していく楽しさも味わえる。
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鬼を倒しても経験値は加算されず、手に入るのは肥料づくりに役立つ「木魄(こはく)」や食材、素材のみ。体力回復アイテムも存在せず、前夜に食べた夕食によって「自然治癒」効果がもたらされるのも面白い。
ダンジョン内で食材、農具や衣類を作るための素材、肥料の材料などを集めて稲作に活かし、より良い米を作るとサクナがパワーアップ。探索&戦闘と稲作が密接にかかわっているため、やめ時がわからずにいつまでも遊んでしまうはずだ。
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自由度の高い献立づくり どこまでも深い食へのこだわり
本格的な稲作シミュレーションに話題が集まるが、食事へのこだわりにも注目したい。「夕餉」で献立を考えるのがまた楽しい。
献立は主食、菜、汁、菓子、飲物から選べるが、バランスよい食事ではなく汁ものばかりで構成しても問題ない。兎肉の炙り焼き、団栗汁など野趣あふれるメニューもおいしそうだし、七草や松茸など季節の食材を使った料理(旬のものを食べれば能力もさらにアップ!)、口噛酒や濁酒などのお酒も楽しめる(子供っぽい見た目ではあるが、神であるサクナは立派な成人である)。献立によってグラフィックが変化したり、食べ進めるにつれて皿が空っぽになっていったりと、細かいところまで手が込んでいる。
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食材の備蓄が乏しくなると、干飯と水といったわびしい食事になることも。満腹度や命、力といったパラメータが上がらないのも問題だが、それ以上に「大事な仲間にひもじい思いをさせてしまったのではないか」「こいつらに腹いっぱい白米を食わせてやらねば!」と謎の使命感がわいてくる。ともに食卓を囲むうちに、いつしか仲間に対して家族のような親しみを抱くようになり、「同じ釜の飯を食うとはこういうことか」と痛感させられる。
さらに11月25日(水)には、「卵焼きの調味料を砂糖以外に塩、醤油、出汁からでも作れるよう変更」という、こだわりが強すぎてどうかしているとしか思えない素敵なアップデートファイルが配信されている。だが、このこだわりこそ『天穂のサクナヒメ』。食事にしても稲作にしても、「ここまでやるか」という妥協なき作りこみがこのゲームの最大の魅力と言えるだろう。
本格的な稲作ゲームとして、上質な横スクロールアクションとして、サクナを育てるRPGとして、そして昔の生活シミュレーターとして、さまざまな楽しみ方ができる『天穂のサクナヒメ』。この奥深い世界を、ぜひおにぎり片手に味わってほしい。
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天穂(てんすい)のサクナヒメ
・発売元:マーベラス
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:和風アクションRPG
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 通常版 希望小売価格 4,980円+税
パッケージ版 彩色画集付限定版 希望小売価格 6,980円+税
ダウンロード版 通常版 販売価格 5,478円(税込)
ダウンロード版 楽曲集付豪華版 販売価格 7,678円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:B(12才以上対象)
©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.
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