『Ghost of Tsushima』を先行レビュー! 時代劇に入り込んだかのような緻密な作り込みに迫る!【特集第3回】

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『Ghost of Tsushima』を先行レビュー! 時代劇に入り込んだかのような緻密な作り込みに迫る!【特集第3回】

7月17日(金)の発売が迫るPlayStation®4用ソフトウェア『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)。今回は製品版を先行プレイしての、ネタバレなしのレビューをお届けする。

美しい日本の風景と武士の誇りを徹底表現した作り込み

冒頭、小茂田浜での合戦に破れたあと、主人公・境井仁が自身の刀を取り戻すシーンで確信した。このゲームで表現されている日本は、日本風に作られたものではなく、時代劇や邦画を徹底的に研究されて作り出されたものだと。それほどまでに仁の刀に対する敬意、想い、そして刃に反射する月明かりの演出は完璧だった。

雰囲気作りという点において、まず目を引いたのが景観。一面のススキやイチョウ、アジサイ、ヒガンバナなど、色彩豊かな植物が島中に生い茂り、行く先々が楽しみだし、何より馬で駆けているだけでも画になる。夜になるとホタルが、日中は赤トンボやアオスジアゲハが飛んでいたりと、都会生活では縁遠い、懐かしい日本を思い出させてくれるつくりにも感動した。

道端の地蔵に頭を下げると大量のホタルが舞う場所もある。このお辞儀は攻略には必要ないが、民にお辞儀をすると返してくれたり、仲間の死体に頭を下げれば仁がとむらいの言葉をかけたりと、日本人の頭を下げる行為に込められた感謝や尊敬の念を表現しているところが細かい。和の心を外側だけでなく、内面からしっかり表現しているのには、文字通り頭が下がる思いだ。

刀を振るう武士であるか、闇夜に紛れる冥人であるかは自由

本作の戦闘は大きく分けてふたつあり、正面から堂々と斬り伏せるか、闇に紛れて討つか。どちらのアクションのスタイルで戦うかは完全に自由で、さらにストーリー進行にも影響しないのだから、完璧なルートを目指すプレイヤーへの気配りを忘れていない。

武士のように戦う際は、敵の攻撃を受け流したり、弾いてから一太刀入れることが基本となる。がむしゃらに刀を振っても敵に回避されたり、受け流しや防御をしてくるため容易にはいかない。

仁には石、水、風、月の4つの型があり、それぞれ攻撃方法や得意な敵が異なっているので、敵の動きや戦闘スタイルを見極めることが求められる。

例えば石の型は剣兵に、水の型は盾兵に有効で、突きや上段斬り、蹴りと多彩な剣術や体術を駆使して敵に対処していく。

敵に発見されていなければ、一騎打ちも申し込める。これは敵の攻撃してくるタイミングに合わせて居合いを繰り出すもので、どんなに強い敵でも一刀で倒せるため、爽快感がある。

敵の背後から闇討ちしたり、戦闘中に煙玉を投げて姿をくらましたりと、武士とは違う冥人(くろうど)の戦い方は、敵に気づかれたくない状況や、民が人質に捕らわれている際に役立つスタイルだ。大人数のモンゴル兵がいる拠点に、正面から戦いに行くのはさすがに無策かつ無謀。そういった際にステルスで数を減らしていくのが冥人流の戦術となる。

冥人の暗具には近距離用と遠距離用のものがあり、近くの複数の敵に投擲するくないや足元に炸裂させる煙玉は近距離用。火器を投げて爆風でダメージを与える「てつはう」や敵を誘う鈴は遠距離用となる。対馬のため、民のために影となって暗躍する姿は、武士とはまた違う義を感じさせる。

戦闘について説明していくとどうしても高難易度の作品である印象を与えてしまうが、本作には難易度が3種類存在する。選んだ難易度によって、敵の体力は変わらず攻撃頻度や防御の度合いが変化する仕組みだ。最も簡単な“やさしい”を選べば、対馬の旅と物語を気軽に満喫できる。

民の声を聞き、対馬の解放を目指す諸国ならぬ対馬漫遊の活劇

戦いばかりのゲームではなく、隅々まで作られた自然や景色、動物たちを眺めることも楽しみのひとつだろう。時には過去や未来に思いをはせて和歌を詠むことも、精神を落ち着かせる秘訣なのもかもしれない。

対馬という地で暮らしを営む人々を違和感なく表現し、そこで生きるひとりの武士として奔走する。これほどまでに海外のスタジオが、没入感を感じさせる和の世界を見事に形作っているのは驚きのひと言。

このこだわりからは、開発陣は実際の対馬の歴史を忠実に再現したかったわけではなく、私たちの想像している昔の日本……刀を振るい、義と誇りのために民を守る侍たちが活躍していた中世の日本を表現したかったということが感じられる。

登場人物たちの感情の矛先や動きもとても細かい。皆が皆、対馬のために行動するのではなく、ひとりは殺された一族の敵討ち、ひとりは裏切った弟子の後始末、ひとりは飯の食えぬ浪人仲間のため……それぞれの義や誇りが交錯していく人間模様も魅力的だ。ひと筋縄ではいかない、武人や民であるからこその先の読めない展開も目が離せない。

手の内を読み合う剣戟の緊張と、雄大な自然の探索がもたらす緩和。そのバランスの良さをぜひ体験してほしい。歴史に疎くても登場人物のほとんどが本作独自のキャラクターたちだし、もし時代劇や映画の知識が多少でもあればさらに楽しめる、それが『Ghost of Tsushima』だ。


Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー
・発売日:2020年7月17日(金)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 6,900円+税
    ダウンロード版 通常版 販売価格 7,590円(税込)
    ダウンロード版 デジタルデラックスエディション 販売価格 8,690円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:Z(18才以上のみ対象)


PS.Blogの『Ghost of Tsushima』記事はこちら


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©Sony Interactive Entertainment LLC.

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