Co-ディレクターの浜口直樹氏が、新たな召喚獣システムの背景にあるアイデアや、迫力満点の召喚獣たちがどう作り上げられたのかを紹介
※本記事はUS版PlayStation®.Blogの日本語翻訳記事です。
皆さんこんにちは、『FINAL FANTASY VII REMAKE』(『FFVII リメイク』)のCo-ディレクターを務める浜口直樹です。今回は皆さんに、私が考える『FFVII リメイク』の中で最もカッコいい要素のひとつである召喚獣の裏話をお伝えしたいと思います!
「FINAL FANTASY」シリーズになじみのない方に説明すると、召喚獣はFFシリーズではおなじみの存在で、バトルに呼び出すことで強力な技を発動してくれる助っ人のような存在です。今作『FFVII リメイク』では、従来と異なるアプローチを取っています。
今作では、ビジュアルがより壮観にリメイクされた召喚獣たちと一定時間共闘することができます。ここからは、どのようにしてそのシステムを実現させたのか、そして実現する過程でぶつかった壁などについてご紹介します。
召喚獣の背景にあるアイデア
『FFVII リメイク』における召喚獣のテーマは“共闘”です。
原作『FINAL FANTASY VII』のように、大技だけを発動して帰還するような召喚システムではなくて、『FFVII リメイク』では、一定時間を主人公たちと一緒にバトルする召喚システムにしたいと考えました。
もちろん、アイデアを考えることと、実現させることは全く違うことで、実現するまでには難しい課題がいくつも私たちを待っていました。
召喚獣システムの開発
始めに私たちは、召喚獣にATBゲージを追加することで、ゲージが溜まるとパーティメンバーのようにコマンドを使えるシステムを試してみました。
しかしながら“共闘“は表現できたのですが、パーティが4人になっただけで、有意義なかたちでバトルに変化をもたらすこともなく、召喚獣としての特別感がありませんでした。
そこで主人公のATBを吸収させて召喚獣の技を発動することを試した時に、今まで以上に“共闘”を感じつつも、通常のバトルとは異なる手触りで特別感を感じることができたので「これだ!」と思い、現在の召喚システムの形へと落ち着いていきました。
あと原作ファンが気になる点と言えば、召喚獣を呼び出すことができるタイミングが限定されていることかと思います。
なぜあのような変更を入れたかというと、特別感を出すことを一番に考えたときに、常に使えるバトル戦略の一部として組み込むよりは、ユーザーメリットになるフィーバータイムとしてゲームを体験をしてもらうほうが気持ちよく特別感のある記憶として残ると判断したためです。
呼び出せる条件を限定すると同時にMP消費も0としたことで、よいバランスでバトルシステムに組み込むことができたのではないかと思っています。
召喚獣のデザイン
システムが整ったところで、次は召喚獣の見た目をできるだけ良くする必要がありました。召喚獣は、信じられないほど強力で、元素の力を扱う生物なので、デザインがそれを反映していることが不可欠でした。
また、『FFVII リメイク』に登場する召喚獣のうち6体は、原作のものを使用していたので、原作と同じ要素を継承したデザインにしなければなりませんでした。
しかしながら、原作当時のデザインをそのまま再現しただけでは、画面情報量が現世代のクオリティに対して不足しており、超越した存在であるべき召喚獣がとても弱々しい印象に見えてしまいます。
そのため、オリジナルを壊すことなく膨らませることができる要素を、時間をかけて再創作しています。例として、ここではバハムートのデザインをいくつか見てみましょう。
ご覧のように、召喚獣とアビリティの見た目はどうあるべきなのか、どちらも長く考えました。
このバハムートは最終的にボツとなってしまいましたが、それぞれの召喚獣が開発中にどれだけ作り直されてきたかを、わかっていただけると思います。
最終デザインと惜しくも消えてしまった召喚獣
私たちの最終的なアプローチ方法は、シルエットは基本的に当時のままとし各召喚獣に合うようなディティールを大幅に増やすことをしています。例えばイフリートは炎の召喚獣ですので燃えたぎるマグマの亀裂や黒く固まった溶岩のような表現を増やして荒々しさを表現しています。
またシヴァですと原作よりも寒色寄りの配色に変更し、金属製の装飾を多く用いることでより冷たい印象になるように調整しました。
さらに召喚獣全体としての超越した存在であることを表現するために光り輝く粒子などの表現を追加することで、リメイクでの召喚獣らしさを演出しています。
個人的には最終的なデザインには満足しています。しかし、ひとつだけ後悔があるとするならば、原作のファンには懐かしいラムウを『FFVII リメイク』の召喚獣として登場させられなかったことです。
属性としては、ラムウを入れたかったのですが、原作の体験版同様に壱番魔晄炉でリヴァイアサンを使ってみたいファンがいるだろうという点と、「FINAL FANTASY」でバハムートが見られないのはファンとしても残念に感じるだろうという点から、ラムウは諦めた経緯があるのです。
というわけで、残念ながらラムウはゲーム内には登場しませんでしたが、次に召喚獣を決める機会では、必ずラムウを入れたいという思いがあったりします。
召喚獣を集める達成感
召喚獣にはその特別感や、見た目の良さだけでなく、もうひとつ考慮すべきものがあります。『FFVII リメイク』でも、「FINAL FANTASY」シリーズのほとんどの作品でもそうなのですが、召喚獣はただ戦闘を助けるだけではなく、プレイヤーへの報酬としての役割も担っているのです。
実際に、原作の『FINAL FANTASY VII』には複数の召喚獣が用意されており、ストーリーの報酬やフィールドに配置されているものを拾うことで入手していました。そこで今回の『FFVII リメイク』では、召喚獣を手に入れたときの達成感を原作よりも魅力的に映るようにしたいと考えました。
そのために私たちは、開発の初期段階で、対象の召喚獣にバトルで勝利することで召喚マテリアを入手するという明快なルールを設定したのです。
VRバトル
その決断をしたあと、召喚獣を実際にどうやってプレイヤーと戦わせるのかという新たな課題に直面しました。
『FINAL FANTASY VII』の世界で召喚マテリアは古の知識の結晶であり、召喚獣はゲーム内の時代に存在してはいけないという設定に悩まされたのです。
それを解決するためにVRバトルのアイデアがあがってきました。
実は、『FINAL FANTASY VII』の世界にはすでにVRの前例があり、『クライシス コア ファイナルファンタジーVII』ではソルジャーの訓練用に据え置きのバトルシミュレーターの設定があり。その設定を『FFVII リメイク』でもオマージュをしたいと考えていました。
まず私たちは、マテリアに含まれる知識を分析することで、神羅の研究者たちが仮想環境で召喚獣を再現できるのではないかと考えました。そして、VRの世界にクラウドとパーティのメンバーを登場させることで、召喚獣との楽しく刺激的なバトルが実現できると思ったのです。
もちろん、ひとつの課題を解決すると、必然的に別の課題が現れます。次は、実際にVRバトルをプレイヤーに届ける方法を見つけなければなりませんでした。なぜなら、VRの使用可能なのが神羅ビルだけでは、ゲームのユーザビリティは落ちてしまうためです。
そこで、解決策としてチャドリーを登場させました。
持ち運び可能なバトルシミュレーターの開発
チャドリーは、ゲーム内のさまざまな場所で出会うキャラクターです。神羅の科学部の研究員ではありますが、神羅への愛はありません。今作では、クラウドたちが研究に協力すれば、新たな強力なマテリアで支援してくれる重要なキャラクターとなっています。
神羅の研究員であるチャドリーであればVR技術にもアクセスもしやすく世界観にも説明しやすいと考えました。そして、チャドリーに持ち運び可能なヘッドセットタイプのバトルシミュレーターを与えたことで、ゲーム内のさまざまなポイントで召喚獣とのバトルができるようになったのです。
実は、ヘッドセットタイプのバトルシミュレーターのインスピレーションはPlayStation®VRからもらっています。ヘッドセットのデザインを作成する際には、PS VRの画像を参考にさせていただきました!
『FFVII リメイク』で登場する召喚獣たちの裏話は楽しんでいただけましたか? 個人的には、とても満足のいくシステムを開発できたと思っています。
開発チーム全員が召喚獣の要素に情熱と努力を注いでいますので、皆さんに楽しみながら迫力満点の召喚獣でバトルを楽しんでいただけたら幸いです!
FINAL FANTASY VII REMAKE (ファイナルファンタジーVII リメイク)
・発売元:スクウェア・エニックス
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:RPG
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 通常版 希望小売価格 8,980円+税
パッケージ版 パッケージ+フィギュアセット 希望小売価格 33,980円+税
ダウンロード版 通常版 販売価格 9,878円(税込)
ダウンロード版 DIGITAL DELUXE EDITION 販売価格 11,501円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:C(15才以上対象)
PS.Blogの『FINAL FANTASY VII REMAKE』記事はこちら
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© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA/ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION: © 1997 YOSHITAKA AMANO
※本作は1997年に発売された『FINAL FANTASY VII』(原作)のリメイク作品です。ミッドガル脱出までの原作を元にオリジナルの要素を加えた作品となり、複数作で展開予定の第一作目です。
※画面は開発中のものです。
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