『The Last of Us Part II』開発者インタビュー。エリーの成長とプレイ体験の深化が明らかに

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『The Last of Us Part II』開発者インタビュー。エリーの成長とプレイ体験の深化が明らかに

筆者:ティム・トゥリー (SIEシニアソーシャルマネージャー)


9月24日(火)、ノーティードッグによって行なわれた『The Last of Us Part II』の試遊イベントで、幸運にも招待されたプレイヤーたちは、数時間にわたるプレイを通して、エリーの成熟や繊細な一面と残酷な行為をもためらわない姿を確かめることができた。待望の続編の圧倒的なビジュアルの美しさと心を奪われる物語の展開が、意図的に不安を掻き立てるかのような暴力描写の衝撃との相乗効果を生み出している。

だが、『The Last of Us Part II』の見どころは、(もちろん、それらも素晴らしいものだが)ゲームプレイの新機能やビジュアルの進化、充実したストーリーだけではない。

『The Last of Us Part II』のディレクター、ニール・ドラックマンとの刺激的なインタビューを通して、多くのことに挑戦している本作についてのさらなる情報を読者の皆様にお届けできれば幸いだ。

初期のアイデア

『The Last of Us Part II』の物語が固まったのはいつなのだろうか。ドラックマンはこの質問に軽く声を立てて笑った。話は2013年、エリー役で見事な演技を見せたアシュリー・ジョンソンとの会食に遡る。

「アシュリーと会ったときに『Left Behind -残されたもの-』のアイデアを紹介したんだ。で、その時、他にも書こうと思っているものがあるんだけどって言って、続編のアイデアも話した。そうしたら、会食していたレストランでアシュリーが泣き出しちゃって。周りの人に、『彼女を泣かせるクズ野郎』って思われてないか心配だったよ(笑)。覚えている限り、しっかりとしたアイデアが出てきたのはあれが最初だったね」

2013年の時点で、物語の序盤・中盤・終盤は基本的に構想できていたようだ。だが、終盤部分は開発の進行とともに大きく変更されることになった。

「そうやってスタートした。アイデアの核だけはあって。それからチームが増えてきて、彼らともビジョンを共有したんだ。ゲーム作品はみんなで作り上げるものだから、全員でこのアイデアに向けて進んでいった」

エリーの成長

前作から引き続いてキャンバス地の靴を履いた主人公は、大陸を横断するジョエルとの旅から大きく変わった。「エリーは自立した人間になったんだと思う」とドラックマンは言う。

「前作でのエリーは頼ることができる相手を見つけようとしていた。エリーがジョエルに言うセリフに『あたしの大事な人は、あたしを置いていったか、死んだの。全員ね。あんた以外』というものがあるよね。エリーはある意味ジョエルにずっとくっついている」

『The Last of Us Part II』の冒頭では、エリーとジョエルの関係はぎこちないものになっている。また、ワイオミング州ジャクソンでの新生活が同地に住む他の生存者たちと新たな関係を築くチャンスをエリーに与えたようだ。中でも、ひとりの住民と特に親密になっていく。

「ディーナとエリーは親友として何年も過ごしてきた。からかいあったりもしているんだけど、ディーナの本当の気持ちがエリーにはいまいちわからない。でも、プレイヤーにはディーナもエリーと同じ気持ちでいるのがわかるんだ」

だが、エリーが送っていたそれなりに快適な「普通の」生活は、この感染後の世界では長続きするはずもない。ドラックマンは、エリーに火をつけて決死の復讐行に旅立たせることになる、衝撃的な出来事のことをほのめかした。

「エリーは、正義の裁きを下して、物事を正したい。たとえ、そのために一人で戦わなくてはならないとしてもね」

新種の感染者

多くの続編では、多数の新たな脅威に立ち向かわせることでスリルを生み出す。だが、ノーティードッグが新種の感染者を登場させるのは異なった目的のためだ。開発チームは慎重に検討を重ね、新種「シャンブラー」(有毒の瘴気を発するグロテスクな変異体だ)を「The Last of Us」世界の生態系にうまく当てはめた。

「前作では、(感染者の)感染の各進行段階についてすべてを規定した文書を作っていた。だから、なぜ新たなタイプの感染者が出てくるのか、納得できる理由を作らなくちゃいけなかったんだ。感染者の変異がなぜ起こったのか。詳しい話はここでは明かさないけど、環境と、感染発生からの時間経過が変異を生み出したんだよ」

シャンブラーは、本作の世界を豊かに彩るだけではない。新しくなった敵との遭遇でプレイヤーを緊張へと追い込む存在でもある。

「ランナーは距離を一気に詰めてくる。クリッカーは動きこそ緩慢だけど一撃死の可能性がある。そして、シャンブラーは攻撃範囲が広い。ガス状になった酸の雲を噴き出していて、周りにあるものを燃やしてしまうんだ。もちろんエリーの肌もね。この試遊版でシャンブラーに出会うときはほとんど単独だったはずだ。ところが、雲はエリーを傷つけるだけではなく視界も妨げる。そこからランナーが飛び出して来たら……。つまり、他の感染者と同時に出現するとさらに危険な存在になるんだよ」

リアルなプレイ体験の深化

リアルな体験を生み出すことは、ノーティードッグが掲げる目標のなかでも中心となるもののひとつだ。開発チームは本作で、核となる部分を維持しながらも、エリーが行なえるゲームプレイの幅を広げるために、武器の種類やカスタマイズ、スキル、敏捷性などを増やしていった。

「リアルな体験を追求しているのは間違いないけど、現実を完全に再現するということじゃないよ。そもそも、現実の人生でできることがゲームで全部できるわけじゃない。コントローラーがあるからね。それを念頭に置いて、リアルに感じられるシステムやビジュアルをどう生み出していくか。たとえば、試遊版のエリーのように多人数を相手にして返り討ちにするなんて不可能だろうけど、緊張感を生み出すためにはあの人数が必要だったんだ。現実的に相手できる人数に合わせるより、緊張感を生み出す方が大事だったからね」

「システムについても同じで、自分の生死が武器によって決まるとしたら、武器を掃除するだろうし、整備もするはずだ。だから、そういうシステムとビジュアルを作った。カメラが近づいて、手に取っている武器を見せ、実際に手を動かして改造する。死をもたらすこれらの道具にエリーが持っているある種の愛着をプレイヤーにも感じてもらうためにね。それが、この世界で生き延びるということなんだ」

ノーティードッグは、プレイヤーのスキルを試しながらもプレイヤーの感情的な反応を引き出すための新たなシステムも追加しようとしている。

「犬が加わったことで、敵対的な生存者はプレイヤーを見つけ出す新たな感覚(つまり嗅覚だ)を手に入れた。エリーが移動時に残した臭いの痕跡は、時間とともに薄くなっていく。でも、犬に臭いを嗅ぎつけられると位置を突き止められてしまうんだ。人間には見つからない場所にかくれていたとしてもね。だからといって犬を殺してしまうと、人間を殺したときよりも罪悪感を覚えることになる」

人間らしさを感じる敵

番犬との戦いは、ノーティードッグが進歩させた技術を本物らしく無慈悲なアクションゲームを作るために使用した一例にすぎない。プレイヤーの感情とゲーム内での行動を結びつけようとする細部までの注意は、敵対的な生存者にも及んでいる。

「アクションゲームで可能なギリギリまで暴力をリアルに扱いたかった。ひとつの例として、本作に登場する敵にはすべて名前が付けられている。オマーとかジョーとかね。」

ノーティードッグとしては、この要素の実装に伴うリスクは決して軽微なものではなかった。

「大変だったよ。新しい技術というだけじゃなくて、収録の負担も大幅に増えたし……。でも、敵同士のコミュニケーションははるかに洗練されたものになったと思う。本作の敵は単なるNPCとか、人間の形をしただけの物体じゃない、と感じてほしかったんだ」

プレイヤーが敵を倒すと、別の敵が、友の名を呼んで悲痛な叫びをあげるかもしれない。そして、激情に駆られた敵は戦いにおいても、憤怒で予測不可能な行動を取る存在となる可能性がある。すべてが混ざりあって、野蛮な、だが現実感のある経験が生み出されていく。

「優れた物語を体験したときのようにさまざまな思いが浮かび上がってくる。そうなるように、必死で取り組んでいるんだ」

戦うべきときを選ぶ

ノーティードッグは、エリーの行動がもたらす結果をさらに深いレベルでプレイヤーに体感させようとしているため、不必要に血を流すことは避けたいと思うプレイヤーも出てくるかもしれない。開発チームはそんな声にも応えようとしている。

「敵に見つかって、戦闘に巻き込まれても、全員を倒さないでその場を脱出できるようにしたかった。同様に、気配を消して完全に戦闘を避けられる箇所ももっと増やしたかったんだ。とても大変だし難しいけど、戦闘無しでクリアできるエリアも多い。敵と戦闘するしかない状況ももちろん出てくる。不快になるようなことをやらざるをえない状況だ。でも、それも本作の物語の、そしてエリーの旅の一部なんだ」

だが、血まみれの戦闘を避けることができるようになったとはいっても、探索するエリアが減ったわけではない。

「『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』や『古代神の秘宝』で、僕らは広いステージを作るという実験をしてきた。本作でも同じことをするつもりだ。ただし、物語の展開とうまく合うようにね。緊張が緩和する場面や、プレイヤーに「次は何をしよう。どこに行ったらいいかな」と悩んでほしい場面に使うつもりだ」

恐るべき写実性

『The Last of Us』はPlayStation®3の技術的限界点を押し上げた作品だが、PlayStation®4の性能を生かして作られた世界はさらに魅力的なものになっている。

「『The Last of Us』と同じように限界に挑戦したよ。メモリや演算能力、画面上に表示される敵の数、マップの広さ。その結果、はるかに広範な世界、感染者の大群が登場する場面、広大な空間でプレイヤーを探し回る複数の敵部隊が出てくるようになった」

「またエリーにも、モーションマッピングと呼ばれる新しいアニメーションシステムを採用している。おかげで、動きが現れるまでの時間を短縮しながらリアルさも同時に向上させられた。たぶん、エリーは、操作性の面でもビジュアルの面でも、三人称視点のアクションゲームでは最高レベルのキャラクターになってるんじゃないかな」

「顔と動きのキャプチャーで得られる写実性は――俳優の演技をさらにうまくゲーム内に取り込めるようになったし細かいニュアンスも取り込めるから、単なる台本以上のもの、瞬きの仕方や目の細め方によって表現できるようになった。これまでできなかったレベルのニュアンスを込めた台本を書けるようになったんだ」

PlayStation®ユーザーへのメッセージ

世界中のゲーマーが『The Last of Us Part II』のプレイを心待ちにしている。ノーティードッグはどんな思いなのだろう。

「数年間かけて、このゲームを開発するという旅を続けてきました。長い沈黙期間があったのも自覚しているし、ファンの熱心さやPlayStationのコミュニティーからの支援も感じています。おそらく皆さんが思っている以上に、皆さんは私たちを勇気づけてくれているんです」

「開発も追い込みに入り、私たち自身も完成を楽しみにしています。何をお見せするかについては慎重になってきましたが、こうやって試遊版をプレイしていただき、これまでいくつかの映像を公開しながらも、細心の注意を払って、物語のネタバレが起こったり特別さが失われたりしないように、意外な展開や筋書きが漏れないようにしてきました。皆さんにプレイしていただく日を心から楽しみにしています」

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The Last of Us Part II

・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation 4
・ジャンル:アクション
・発売日:2020年2月21日(金)予定
・価格:パッケージ版 通常版 希望小売価格 6,900円+税
    パッケージ版 スペシャルエディション 希望小売価格 8,900円+税
    パッケージ版 コレクターズエディション 希望小売価格 17,900円+税
    ダウンロード版 通常版 販売価格 7,590円(税込)
    ダウンロード版 デジタルデラックス版 販売価格 8,690円(税込)
・CERO:審査予定

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『The Last of Us Part II』公式サイトはこちら

©Sony Interactive Entertainment LLC. Created and developed by Naughty Dog LLC.

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