みんなでつくるタイムマシン。1964年当時の渋谷駅周辺を映像や音とともにPS VRで体験
一般社団法人「1964 TOKYO VR」が進める「1964 SHIBUYA VRプロジェクト」の体験イベント「タイムマシン体験会~2018年・夏」が、8月21日(火)に東京・渋谷 EDGEofにて実施された。
「1964 SHIBUYA VRプロジェクト」は、1964年当時の渋谷界隈の街並みを3DVRで再現していくという主旨で、2017年10月よりスタート。プロジェクトの発表後、当時の写真が数多く集められ、当時の渋谷駅周辺を3DVRで再現することに成功している。渋谷駅の改札で切符を切る音が聞こえてきたり、ガード下を通ると電車の音がしたりと、まさにタイムマシンに乗って1964年当時に戻ったかのような臨場感ある形で再現し、その3DVRをPlayStation®VRで体験することができる。
◆「1964 SHIBUYA VRプロジェクト」の紹介ムービー
◆渋谷駅を中心とした広域エリア3Dモデルのムービー
https://www.youtube.com/watch?v=rRwGgDCKCDY
本イベントではまず、「1964 TOKYO VR」の代表理事を務める土屋敏男氏(日本テレビ シニアクリエーター)と齋藤精一氏(ライゾマティクス 代表取締役)が登壇。プロジェクトの概要について説明が行なわれた。
ライゾマティクス 代表取締役 齋藤精一氏(左)
日本テレビ シニアクリエーター 土屋敏男氏(右)
この3DVR空間の作成には、2次元画像を元に3次元の物体の大きさや形状を測量する最新技術「フォトグラメトリー」が使われており、過去の航空写真などから街に並ぶ建物の3Dモデルを作り出す。この時点では真っ白な”物体”にすぎないが、そこへプロジェクトに賛同した個人・法人の賛助会員や一般から提供された写真をデジタルスキャンし、看板などの外観を加えることで、当時の街並みを生き生きと蘇らせている。
それだけに、この3DVR空間を完成させるには当時の写真ができるだけ多く必要だ。本プロジェクトは”押入れのIoT(Internet of Things)化”を掲げ、押入れの奥に眠り、やがて処分されてしまうかもしれない古いアルバムをデジタルデータにすることで、過去を現代に蘇らせたいという思いが込められている。また、老若男女みんなで作る参加型コンテンツであり、現在のところ1,100~1,300枚の写真が寄せられているという。
もう見られないと思っていたものが見られた──。体験した欽ちゃんも懐かしく思い出を語る
ここで「1964 TOKYO VR」第1号特別賛助会員となっているタレントの萩本欽一さんと、渋谷区の長谷部健区長が加わり、3DVR空間を実際に体験することに。
渋谷区長 長谷部健氏(左)
「1964 TOKYO VR」第1号特別賛助会員 萩本欽一さん(右)
PS VRのヘッドセットを装着した萩本さんは、ハチ公像のある渋谷駅前からスタート。映画館など1964年当時の看板を見上げながら進み、電車の音が聞こえる高架下をくぐって宮益坂方面を散策した。この後を受けた長谷部氏は、現在のスクランブル交差点からセンター街と道玄坂を見た風景の広さに驚き。建ち並ぶ建物は現在よりはるかに低いため、空をより広く感じたようだ。
体験を終えた萩本さんは、「もう見ようと思っても、見られないものが見られた。この時代に僕は渋谷に住んでいたので、懐かしいね」と、コント55号が3人組だったという当時に想いを馳せた。
1972年生まれで渋谷出身の長谷部氏は、「生まれる前ですね。昔、川が暗渠になりだしたころで、いろいろ変わり始めたところだと思います。覚えていない僕らでも楽しかったので、当時を覚えている方々には本当に楽しいものになると思います」と述べた。
プロジェクトの今後の展開については、2020年を目標に、渋谷から丸の内まで1964年に聖火が通ったルートの街並み完成を目指しているとのこと。なお、コンテンツ完成後の具体的な運用については未定だが、さまざまな場所で体験できるようにするほか、PS VR用ソフトウェアとして配信することへの意欲も見せおり、こちらにも期待だ。
そのために必要な、1964年当時の写真も続けて募集中。公式サイトでは写真の投稿が可能なほか、3Dモデルの閲覧などもできるので、ぜひチェックしてみよう。
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