骨太なアクションや、物語への高い没入感が世界中で高い評価を得ているPlayStation®4タイトル『ゴッド・オブ・ウォー(以下、GoW)』。本作では、主人公であるクレイトスと、その息子・アトレウスの親子の関係が深く描かれる――。電撃PlayStation編集部が贈る特集記事の最終回となる今回は、実際に子どもを持つ2人のお父さんに本作をプレイしてもらい、ゲームで描かれた親子の絆の物語を父親目線で熱くレビューしてもらいます!
『GoW』で子どもの成長の流れが一気に体験できるとは思いませんでした!
《営業・Oさん/2児(5歳男児・2歳男児)の父》
本作をプレイした第1の感想は、息子のアトレウスは本当にいい子! 母親が死んでも気丈に振る舞っていますし、父親であるクレイトスを怖れながらも慕っている様子が見て取れますし。そんなアトレウスを冷たく突き放すクレイトスに、序盤は結構イライラしました。たとえば、クレイトスはルーン文字が読めないので、道中のルーン文字の解読はアトレウスが担当なのですが、その指示の出し方がヒドい! 「おい」、「読め」、など、お前は昭和の無口亭主かと言わんばかりのぶっきらぼうさです。耐えかねたアトレウスが「父上は必要なときしか話してくれない! もっと母上の(生前の)話がしたいのに!」などと訴えかけるのですが、「いいから黙って読め」とにべもない態度。それ以外にも、アトレウスの活躍で仕掛けを解いたり、戦闘で活躍してクレイトスを助けたりしたような場面でも、「まだまだだな」とか「思い上がるな」といった厳しい態度で、一向に褒めてくれません。
あまりにもアトレウスが不憫なので、優先してアトレウスのスキルを強化して、「おいオヤジ。やっぱりオレがいねーとダメだな」という設定を脳内補完してプレイしていました。一応フォローしておきますと、クレイトスは単純に息子に興味がなかったり、冷たい性格というワケではなく、不器用で息子との距離感が測りかねているだけなのだというのは随所でわかるような作りになっています。
中盤を過ぎた頃、とある事情によりアトレウスに反抗期が到来。クレイトスの静止も振り切って「オレつえー」と暴走したり、敵を倒しては「死んで当然っしょ」と吐き捨てるようになったり……。ルーン文字の解読を頼んでも、「はいはい、やりゃーいいんでしょ」的な態度を取ったり。この反抗期が過ぎたあと、クレイトス&アトレウス親子の関係にようやく改善の兆しが見え始めます。戦闘中の連携も磨きがかかり、最終的にはクレイトスも「よくやった」と息子を認めることになります。
ラストの一連の流れで一番良かったシーンは、クレイトスがアトレウスに名前の由来を語るシーンでした。名前は、親から子どもへの最初のプレゼントと言われます。そこに込められた想いが語られるエンディングというのは、”父と子”の物語の締めとしてこのうえない物だと感じました。
それにしても、まさか「GOD OF WAR」シリーズで、子どもをめぐる一連の成長の流れ(発達→反抗期→自立)が一気に体験できるとは思いませんでしたが、とにかく最後の締めが感動的で、子を持つ親としてもいろいろと思うところがありました。スパルタ式の厳しい育成法はどうかと思いますが、反抗期を乗り越えて名前の由来を語るくだりは親父としてたいへんカッコイイので、実際に活用してみたくなりました!
クレイトスさんは親としてNG行為連発ですが、その姿はまさしく”父親”
《自営業・Kさん/1児(10歳女児)の父》
本作では、映像はもちろん、セリフ回しやドラマがていねいに描かれており、これまでに遊んできたゲームの中でも屈指のクオリティです。システム的にも細部まで作り込まれており、ゲームの世界に没入できるよう、きめ細かい配慮が成されています。一例を挙げると、本作では初見でとまどう地名や人名、モンスターなどの情報を、息子・アトレウスが書き進めて行くノートを読む、という形で確認できるシステムが採用されています。これによって、プレイヤーが段階的にこの世界の情報を吸収できるだけでなく、イベントやセリフでは省かれているアトレウスの心情(主に父親への不満と、母親への追憶)も読めるため、プレイヤーの中にも”息子”としてのアトレウスの存在が、違和感なく形を成していくように感じられました。
さらに、ストーリー面ではほぼ2人旅が続くために否応なくクローズアップされていくだけでなく、ずっと孤高の戦いを続けてきたクレイトスさんの初めての”相棒”として、アクション面でも大活躍! 最初は霧ではぐれて迷子になったり、敵に襲われて騒ぐだけの”お荷物”だった息子が、父には読めない「ルーン文字」を解読してギミックを発動させたり、弓矢を使って戦闘をサポートするようになったりと、ゲーム中でどんどんたくましく成長していきます。こういった存在の描き方はゲームというメディアならではのもので、単にシナリオやセリフで情感を盛り上げる以上の実感や説得力を持つため、本作のテーマにマッチした、非常にうまいやり方だなぁと感じました。
とはいえ、やはり本作の主人公はあくまで”神殺し”あらためシングルファーザーとなったクレイトスさん。旅路をはばむモンスターとの戦い以上に、息子との関係に苦戦する彼の挑戦と成長こそが、今回の『GoW』のテーマともなっています。とくにゲーム中盤でアトレウスが一時的に冒険をリタイアした際、彼を助けるために八面六臂の大活躍を見せる様は、かつての”復讐の鬼”時代よりはるかに物語の主人公として説得力があり、自然に感情移入できました。
最初の頃は落ち込む息子の肩を抱いてやるのにすらためらいを見せていたのに、クレイトスさんの予想外の成長ぶりに驚きます。後に反抗的な態度を取られても「怒・即・斬」でブッ殺したりせず――あいかわらず言葉は足りず、直接向き合うのを避けるなど親としてのNG行為連発ですが――ちゃんとアトレウスを守り、育てようとしていきます。その姿はまさしく”父親”。クレイトスさんを通してアトレウスの反応や成長ぶりに一喜一憂したり、反抗的な言動に思わずいら立ちを感じたりと、時代や環境は違えど現代の子育てと変わらない気分を体験することが可能です。
とくに娘しかいない私は、「男の子が生まれていたら一緒にキャッチボールを楽しみたかった」的な意味でも、アトレウスとの擬似的な親子気分を楽しめました。まぁ、実際の子育てはここまでスケールが大きかったり、殺伐としたりはしていませんが……。初めての共同作業が、獲物にトドメを刺すのを躊躇する息子の手に手を添え、一緒にズブリ、ですし(これはこれで、命の重みを教えている立派な父親行為かも!)。個人的には、ゲーム開始時にはすでに死んでいる”母親”を安易に回想シーンなどで描写させず、2人やNPCの言葉など間接的な描写からプレイヤーに想像させるように描いている点も、非常にうまいなと感じました。
仕事(本作では殺戮?)しか知らなかった1人の男が、結婚はまあ置いておくとして、子どもを授かったことで否応なく変化を迫られ、不器用なりに成長していく――。小説や映画でおなじみのテーマですが、それを”あの”クレイトスさんが、要所要所に破格のバトルやアクションを挟みながら壮大なスケールで展開するわけですから、面白くないはずがありません! 興味を抱かれた方はぜひプレイして、クレイトスさんとアトレウスの”父と子”の物語の結末を見届けてください!!
父親目線でのレビューはいかがでしたでしょうか? 子どもが実際にいると、本作の物語への感情移入度も、より高くなるようです。最近、ちょっとゲームから離れてしまっているお父さん&お母さんゲーマーのみなさん、クレイトス&アトレウス親子の絆の物語をぜひ体験してみてください!
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ゴッド・オブ・ウォー
・発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:アクションアドベンチャー
・発売日:好評発売中
・価格:パッケージ版 希望小売価格 6,900円+税
ダウンロード版 通常版 販売価格 7,452円(税込)
ダウンロード版 デジタルデラックス版 販売価格 8,532円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:Z(18才以上のみ対象)
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