シンガポールのインディーズデベロッパーチーム「Gattai Games」が手掛ける『Stifled』は、2017年内の発売を目指して開発が進められているPlayStation®VR専用のホラーゲーム。最大の特徴は”音”にフォーカスを当てたゲームプレイにあり、視界を埋め尽くすVR空間と、PS VRのマイクを使った音声認識によって、新感覚の恐怖体験を満喫できる。
今年の5月に開催されたインディーズゲームの祭典「A 5th Of BitSummit (フィフス オブ ビットサミット)」に続いて、本作は「東京ゲームショウ2017」に登場。9月22日(金)に実施されたメディアセッションでは、「Gattai Games」のマネージング・ディレクターであるJuStin Ng(ジャスティン・ウン)氏より、本作の魅力が語られた。
Gattai Games マネージング・ディレクター
JuStin Ng(ジャスティン・ウン)
音に対するジレンマが演出する”息詰まる”ゲームプレイ
メディアセッションは、本作のキーワードである”音”についての解説からスタート。視界に広がるVR空間は、普段は真っ暗で何も見えないのだが、プレイヤーがPS VRのマイクに向かって声を発したり、物音を立てたりするとVR空間に波紋が広がり、周囲の状況がワイヤーフレームのような状態で浮かび上がる。
ただし、その効果は一定時間で切れてしまい、視界は再び暗闇に包まれてしまう。状況を視認しながら進みたければ、何らかの音を立て続ける必要があるのだが、プレイヤーの発する物音は暗闇に潜むクリーチャーをおびき寄せてしまう危険性も伴っているのだ。
プレイヤーが咳をした際の音さえも認識して波紋を広げてしまうので、クリーチャーの存在に驚いて悲鳴をあげるなんてことはもってのほか。「周囲の状況を確認したい、でも下手に物音を立てるとクリーチャーに見つかってしまう……」というジレンマが、”Stifled”というタイトルが示す”息詰まる”展開を演出。
本作には戦闘の要素はなくステルス行動が基本となるため、プレイヤーは息を潜めて隠れながら進む必要もあると、ジャスティン氏は語った。
色の付いた通常の視界のシーンもあるが、本作のメインはあくまで暗闇やワイヤーフレーム調の視界となる。
ゲーム中の環境音によっても波紋が発生
音の波紋はプレイヤーが発する声や物音だけでなく、ゲーム内の環境音に対しても発生。例えば、水が勢いよく床に叩きつけられている場所からは常に波紋が発生し、周囲の状況も映し出され続ける。また、拾ったアイテムを投げつけて落下地点から波紋を広げたり、クリーチャーの注意をひきつけたりといったことも可能だ。
もちろん、クリーチャー自身が立てた物音に対しても、そこから波紋が発生。その場合に浮かび上がる状況は、赤い色で表示される。
なぜプレイヤーが音で周囲を視認できるのかは、本作の物語や世界観と密接な関係にあるとのこと。ゲームを進めていくことで明らかになる、本作の核心に触れる部分でもあるため、詳細は明かされなかった。
マイクが標準装備のPS VRとは相性が抜群だった
音にフォーカスを当てるゲームプレイは、台湾のアニメから着想を得たという。そのアイデアはジャスティン氏が学生時代に知り合ったメンバー5人と共に、卒業制作で開発した『Lurking』というゲームに活かされ、「東京ゲームショウ2014」では革新的なゲームを紹介する企画「センス・オブ・ワンダー ナイト」にノミネート。中国のゲームアワード「IGFチャイナ2014」では数々の賞を受賞するなど、大きな反響を呼んだ。
その後、インディーズデベロッパー「Gattai Games」を『Lurking』の開発メンバーと共に設立。『Lurking』をより進化させたゲームを産み出そうと、2014年8月に『Stifled』の開発が決定したそうだ。
ジャスティン氏たち「Gattai Games」のメンバーは、2015年に「Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)」として発表されたPS VRに注目し、すぐにコンタクトを取ったという。ヘッドセットにマイクが内蔵されているPS VRは、『Stifled』のゲームプレイに最適。ボタン操作で音の波紋を発生させるシステムも用意しているが、ぜひマイクを使って遊んでほしいそうだ。
独自のシステムに対する反応は?
これまでに試遊してもらったプレイヤーのほとんどに、音が鍵となる独自のシステムを楽しんでもらえたという。音というものは人間が本能的に理解できるものであるせいか、国や文化によって反応が異なるといったこともなかったとのこと。
ジャスティン氏は「無暗に声を出したら駄目だとわかっていても思わず悲鳴を上げてしまう人が多いので、私たちが目指したことは正しかったと実感すると同時に、楽しく拝見させてもらっています」と、笑みをこぼした。
ゲームはほぼ完成。日本のユーザーにもぜひ楽しんでほしい
本作の開発は順調に進んでおり、現在は細部の調整やローカライズの確認を行なっている段階だそうだ。学生時代は「多少のバグがあっても許されるよね……」という考えがあったというジャスティン氏だが、現在はプロのクリエイター。より完成度の高いゲームをリリースすべく、とても緊張していると語り、会場の笑いを誘った。
最後に「2014年に開発した卒業制作の『Lurking』から3年後に、大きなプラットフォームで商業作品だせることになり、嬉しく思います。日本のユーザーにもぜひ私たちのゲームを楽しんでほしい」とメッセージが送られ、メディアセッションは幕を閉じた。
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