コーエーテクモゲームスのTeam NINJAが手掛けるダーク戦国アクションRPG『仁王』。発表から10年の歳月を経て、2月9日(木)にPlayStation®4用ソフトウェアとして発売を迎える。
特集第2回では、『仁王』のアクションの真髄に迫るべく、ディレクターを務める安田文彦氏にインタビューを敢行。
歯応えのあるゲームデザインだからこそ、発売前に知っておきたいアクション攻略への心構えや、自由度の高いバトル、さらにはバリエーション豊富な武器のワンポイント解説まで、さまざまなメッセージをもらった。
コーエーテクモゲームス
『仁王』ディレクター
安田文彦(やすだ ふみひこ)氏
「武士道」から着想を得た、死んで活路を開くゲームデザイン
――『仁王』は「戦国死にゲー」とも呼ばれ、高い緊張感と歯応えあるアクションを楽しめる作品になっています。こうしたゲームデザインに至った経緯をお聞かせください。
『仁王』の開発には長い歴史がありまして、私がチームに加わったのは3年前のことです。
そのときすでに「金髪碧眼のサムライが戦国時代の日本で活躍する」という10年前に発表されたコンセプトがあったので、それに見合うゲームデザインを考えていきました。
サムライと聞いて最初に思い浮かんだのが、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という『葉隠』の言葉でした。
私も誤解していたのですが、この言葉の意味は、死ねばいいというわけではなく、死ぬ気で頑張れば道が開けることを示しています。サムライを描くなら避けて通れない言葉であり、どうやってゲームに落とし込もうかを考えました。
それと、3年前は「死にゲー」といわれるハードなアクションゲームがグローバル市場で育っている時期でもありました。そこで「武士道」と「死にゲー」の2つがハマるスイートスポットを探すなか、サムライを主人公とした「戦国死にゲー」にチャレンジすることになったんです。
私自身、歯応えのあるゲームの「NINJA GAIDEN」に長く関わってきましたが、難しさばかりを強調すると、人を選ぶゲームになってしまいます。
難しければいいというわけではなく、緊張感やアクションとしての歯応えがありつつ、落命しても何度も挑むうちに活路が必ず見つかるようにしたい。「死んで見つける」という要素は、「武士道」とリンクすると思ったんです。
こうしたゲームデザインは「死にゲー」に不可欠ですし、一方で「無双」シリーズなど弊社のノウハウを活かしたソードアクションは譲らず、我々にしか表現できないゲームを作っていくことになりました。
――道中の敵でも落命してしまうなか、ボスはとくに強力です。この強敵たちは、プレイヤーにとってどんな存在になるでしょうか。
主人公のウィリアムは、さまざまな武器を使いこなし、構えを変え、スキルや術も駆使します。バトルにおいて、プレイヤーができることや選択肢は非常に多いので、自分に合う戦略、アクションはどれか、ボスには何が効果的なのかを、何度も挑みながら探っていただきたいと思っています。
そのため、どのボスもすぐに倒せるような調整は、敢えてしていません。落命を繰り返しながらも、動きやクセを覚えて、弱点を見つけ、ようやく倒したときの達成感を味あわせてくれるボスたちは、このゲームを体現する存在だと言えます。
また、アクションが苦手という方にも、ウィリアムのレベルアップやプレイヤー自身のスキルアップによって、やがて勝てるように調整できていると思います。腰を据えて、じっくり対処法をマスターしていただければ、どんな難敵も必ず倒せるはずです。
10回、20回と負け、挑戦しているあいだは、どうしても好きになれないと思いますが、苦労して倒した後は、印象に残るキャラクターになっていると思います。文字どおり、プレイヤーに爪跡を残す存在として(笑)。
日本のさまざまな妖怪がボスとして登場するほか、実在の戦国武将も達人として立ちはだかります。
私のお気に入りは、石田三成をはじめ、島左近、大谷吉継といった西軍の戦国武将です。戦国物のゲームでも人気がある武将たちですし、それぞれのアクションを楽しんでいただきたいのと、歴史背景の重みも感じてもらえたらうれしいですね。
バトルの緊張感と駆け引きを表現した「気力」システム
――『仁王』のバトルシステムのひとつにある「気力」は、攻撃やガード、回避といった行動で消費するスタミナのような要素です。「気力」がなくなると動けなくなり、ピンチに陥るわけですが、これを導入した狙いを教えてください。
コーエーテクモゲームスには「無双」シリーズのように、ザクザクと攻撃して爽快感を味わえるタイトルもありますが、『仁王』ではこれらと異なる、緊張感あるサムライの戦いを体験してほしいと思っています。「気力」の仕組みを導入したのはそのためです。
開発当初はウィリアムにだけ「気力」を設定していて、「気力」の回復を待つために逃げ回るような戦いになっていました。サムライ同士のジリジリした緊張感や駆け引きを表現したかったのに、これでは窮屈でしかありませんでした。
そこで、ウィリアムと同じルールで敵にも「気力」を持たせてみたんです。
かつ、「体力」と「気力」のゲージを可視化させたところ、「気力」が多く残っている敵には安易に近づかず、「気力」が減ったら攻めに転じるといった、駆け引きを楽しめるようになりました。
また、この駆け引きをもう一段階上げる要素として、「残心」のテクニックがあります。攻撃の終わりに「残心」の操作を入れると「気力」が回復するので、より多く攻撃でき、有利に戦えるようになります。
ゲージの可視化については、プレイヤーにとってファジーな部分をなくすことにもなるので、非常に迷いました。
でも、アクション性の高いゲームで敵に倒されたとき、プレイヤーが理不尽に感じるのは避けたい。ゲージが見えれば、フェアなルールで戦っていることがわかり、再挑戦するモチベーションも保てると考えています。
バリエーション豊富な武器を使いこなすコツとは?
――近接武器は「刀」「二刀」「槍」「斧」「鎖鎌」の5種類、遠距離武器にも「弓矢」「鉄砲」「抱え大筒」と3種類があり、かなり豊富なバリエーションが用意されていますね。
前提として、どの武器にも長所と短所があります。どんな場面でも絶対的に有利という武器はなく、敵や地形の特徴によって使い分けてもらいたいというゲームデザインです。
ウィリアムは近接武器と遠距離武器を2つずつ装備でき、すぐに持ち替えられるようになっているので、いろいろ試しながら攻略してほしいと思います。
また、武器には威力や見た目の違いだけでなく、さまざまな特殊効果が付与されます。同じ武器でも、よりよい効果のついた武器を探し集めるハクスラ要素もあるので、長く楽しんでいただけるのではないかと思います。
では、武器種それぞれの特徴と、ちょっとしたポイントを紹介しましょう。
刀
サムライの象徴となる武器で、もっともバランスの取れた使いやすい武器と言えます。チュートリアルの初期装備でもおすすめしているので、まずはこの刀を使い、バトルの基本や駆け引きを覚えていただくのがいいと思います。
二刀
刀に比べて手数の多さが特徴となり、小回りが利いて素早い攻撃ができます。一撃の威力は小さいですが、手数の多さを活かして、属性のデバフ効果を敵に与える戦い方が可能です。
火や水などの属性効果を武器に付与して何度も斬りつければ、敵の属性ダメージの蓄積を早めることができます。
槍
リーチの長さに恵まれ、本物の合戦でも、もっとも強かったと言われる武器です。遠い間合いから突いたり、払って複数の敵を攻撃したりと、安定して戦えます。
ただし、狭い場所で振り回すと、壁などに当たって弾かれてしまい隙ができます。槍の間合いより長い攻撃方法を持つ妖怪もいますし、リーチの長さに頼りすぎるのは危険です。
斧
斧のほかに、鎚やつるはしも同系統に含まれます。見た目どおりに威力のある一撃を繰り出せて、リーチもあります。さらに、敵の「気力」を減らすことにも優れた武器です。
攻撃中にひるまないという長所がある一方で、その重さゆえに振りのスピードが遅く、仕掛けるタイミングには注意してください。
鎖鎌
鎌と分銅が鎖でつながった武器です。鎌はリーチが短いものの威力の高い攻撃ができ、分銅はリーチが長く広範囲を攻撃できます。
トリッキーな武器なので、最初は扱いが難しく感じるかもしれませんが、スキル習得で技を増やしていくと、かなり使える武器になると思います。
弓矢・鉄砲・抱え大筒
これら遠距離武器によるヘッドショットは非常に強力です。気づかれない距離からの狙撃で敵を排除したり、ダメージを与えつつ戦いやすい場所に誘い出したりと、うまく活用すれば戦闘が有利になります。
また、威力と射撃音にそれぞれ違いがあり、弓矢は射撃音がないため敵に気づかれにくいことが長所です。ただし、兜を被った相手にはダメージを与えにくいです。
鉄砲は兜ごと撃ち抜いてヘッドショットを決められますが、射撃音が大きいので周囲の敵に気づかれやすいです。
抱え大筒は着弾すると爆発して周囲を巻き込んでダメージを与えることができます。高い威力を持つ一方で、射撃音はもっとも大きくなります。
3つの構えで変化する、自由なバトルスタイル
――ウィリアムは中段、上段、下段の3つの構えを使い分けられますが、それぞれの構えにはどのような特徴があるのでしょうか。
中段は基本となる構えです。攻守のバランスがよく、ガードで消費する「気力」が少ないです。
上段は攻撃特化。威力のある攻撃を出せますが、動きが大きく「気力」も多く消費します。
下段の攻撃は威力が下がりますが、手数が増えて連撃に向いています。また、回避で消費する「気力」が少ないので、スピーディな攻防が可能です。
――構えによってバトルスタイルが変化するシステムには、どのような意図がありますか?
ソードアクションとしてのこだわりもそうですが、それぞれで異なる楽しさを表現したいと思いました。
背中を見せている敵に上段で強力な一撃を打ち込もうとか、激しい攻撃を繰り出してくる敵に対しては下段で回避優先にしようとか、戦闘前にどんな戦いになるかを考え、その準備として適した構えを選ぶという戦略です。
アクションが苦手な方でも、一度戦ったことのある敵の動きを覚え、次に戦うときの対処として構えを選ぶ。そうやってバトルを有利に進められれば、それぞれの楽しさを感じてもらえると思いますし、アクションが得意な方は、戦闘の最中でも構えを切り替えながら戦うこともできます。
忍術や陰陽術を駆使した多彩な戦いも可能!
――ウィリアムは武器で戦うほか、忍術や陰陽術をスキルとして習得することができます。これらも非常に種類豊富ですが、お気に入りのスキルがあれば教えてください。
各武器のスキルが技のアクションであるのに対し、忍術と陰陽術はバトルを有利に進めるためのスキルです。
忍術なら手裏剣やクナイといった暗器のほか、変わり身の術などもあります。
陰陽術は武器に属性効果を付与したり、敵にデバフをかけたりするものがありますね。
忍術では「マキビシ術」がおすすめです。地面にばら撒いた「マキビシ」の上を敵が通ると、ダメージを与えることができます。
ダメージ自体はわずかですが、やられモーションが発生するので、その隙を突いて攻撃したり、追われているときに距離を取ったりすることができます。
マキビシが効かない大型の敵もいますが、効く敵と効かない敵、両方に追われている場面では、この違いを利用して敵を分断させることも可能です。
複数の敵と同時に戦うのは非常に危険なので、1対1の状況を作るうえでも役に立ちますよ。
陰陽術のおすすめは「結界符」ですね。妖怪は常世というエリアを発生させます。ここではウィリアムの「気力」回復が著しく遅くなり、逆に妖怪は回復しやすいという、やっかいなものです。
通常、常世を祓うにはベストタイミングの「残心」を決める必要がありますが、「結界符」をまとったウィリアムは近づくだけで常世を消し去ります。
ボス戦ともなると、常世がたくさん発生して「気力」の回復が難しくなりますが、これなら常世を気にせずに戦えます。常世に苦労する方は、ぜひ使ってみてください。
守護霊の「九十九武器」で一気呵成! 「加護」の効果にも戦略性あり
――「九十九武器」としても使える守護霊は、どれくらいの種類がいますか?
守護霊は20種類以上登場します。戦国武将との戦いに勝ったり、依頼をこなしたりすることで入手可能です。
ウィリアムが憑けた守護霊は、バトル中に「九十九武器」として発動し、一定時間無敵になり、攻撃力が大幅にアップします。発動に必要なゲージを溜めておかなければなりませんが、戦況を覆す強力なものです。
守護霊の色は5つの属性に対応しており、九十九武器もその属性攻撃になります。ボスの弱点属性となる九十九武器で戦うと、より効率的にダメージを与えられます。
「九十九武器」として使う以外にも、憑いているだけで効果のある「加護」により、さまざまな恩恵を受けられます。得られる経験値が増えたり、装備品のドロップ率がアップしたりと、欲しい要素に合わせて憑け替えるのもいいですね。
――おすすめの守護霊を教えてください。
個人的に気に入っているのは、徳川家康から入手できる狸です。
このゲームでは、落命するとその場に刀塚ができて、それまで所持していた経験値もそこに残ります。再挑戦して刀塚に触れると回収できますが、回収前にまた落命すると、刀塚はなくなり経験値もロストしてしまいます。
ただし、狸の「加護」があれば、すべてロストするはずの経験値のうち、何割かが戻ってきます。あらかじめ狸を憑けておくことで、経験値を全て失う被害を抑えられるので、初見のステージに臨むときや、なかなか突破できない難所では、とくにおすすめです。
異国から来た主人公が見る戦国時代の物語とは?
――主人公やストーリーについても聞かせてください。主人公はイングランド人のウィリアム・アダムス、日本では三浦按針(みうら あんじん)と呼ばれた人物がモデルとなっていますが、なぜ彼が選ばれたのでしょうか。
選定の理由と言われると、ゼネラルプロデューサーのシブサワ・コウが10年前に決めたから、ということになりますが(笑)、戦国末期が舞台のゲームで、日本のことを何も知らない主人公を動かすのは面白くなると思いました。
三浦按針はあくまでモチーフであり、完全に同一化しているわけではありません。大きな違いは霊が見えて、妖怪と戦えるところです。その力を持っているから、日本の武将と接することができて、徳川家康に仕えられる。史実を追いながらも、ファンタジー要素を含めた物語を描いています。
――オリジナルストーリーには、どのようなこだわりがありますか?
妖怪があふれる世界というファンタジー要素は持っていますが、関ヶ原の戦いであったり、その前の伏見城の戦いであったりと、歴史上の事実や結末から離れすぎないようにしています。
シブサワからは「ゲームとして面白くなるなら、設定は自由に考えていい」と言われていましたが、やはり変えてはいけない部分はあります。だからこそ、戦国物としても楽しんでいただけると思います。
仁王伝説 ~第一話~
仁王伝説 ~第二話~
いよいよ発売目前! 対戦マルチプレイも導入予定!
――本作をどんなユーザーに、どのように楽しんでほしいと考えていますか?
PS4®を持っているユーザーは、本気のゲーマーが多いと思っているので、やはりその方たちには、とくに遊んでほしいです。
アクションゲームが苦手という方でも、オンラインの協力プレイや、RPG的な成長要素により、クリアするためのルートが必ずあるので、「死にゲー」だからといってあまり怖がらずにトライしていただければ。
また、昔はたくさんアクションゲームで遊んでいたという大人の方にも、久しぶりに本気でプレイしてほしいですね。
仕事が忙しくてゲームをする時間がないなか、手軽なスマートフォンアプリなどが人気ですが、自宅の据え置き機でしか味わえない体験というものを、『仁王』は間違いなく提供できると思います。
――最後に、発売を心待ちにしているユーザーにメッセージをお願いします。
発表から10年以上経つという稀有な歴史を持つタイトルですが、納得のいくゲームができました。発売後はDLCが配信されるほか、時期は未定ですが、PvP要素として対戦マルチプレイの導入も予定しています。
長く楽しめる、骨太なアクションゲームになっていますので、ぜひ遊んでみてください。
PS Plus加入者限定オリジナルテーマ配信中!
PS Storeでは、PS Plus加入者に向けた『仁王』オリジナルテーマを配信中! ホーム画面には主人公ウィリアムが鬼を討つ勇壮な姿、機能画面には社に宿る愛らしい木霊(こだま)が表示される。3月7日(火)までの期間限定配信となっているので、PS Plusに加入している方は早めにダウンロードしておこう。
<配信期間>
2017年1月18日(水) ~ 3月7日(火)
DL版を特別価格で予約受付中! PS Store限定販売の『仁王 Deluxe Edition』はシーズンパスが付いたお得なセット!
PlayStation®Storeでは、『仁王』ダウンロード版の通常版および『仁王 Deluxe Edition』の予約を受付中! 予約購入特典としてPS4®用テーマと「オリジナル鎧装備一式」、早期購入特典として「真田幸村 鎧装備一式 日本一の兵の鎧(ひのもといちのつわもののよろい)」が付いてくる。
PS Store限定販売となる『仁王 Deluxe Edition』には、追加ミッションDLCの三部作をセットにした「シーズンパス」のほか、さらなる専用特典が付属!
早期購入キャンペーン期間中の今なら、通常版と『仁王 Deluxe Edition』のどちらも通常より10%OFF(※『仁王 Deluxe Edition』はゲーム本編が10%OFF)となる特別価格。数々の豪華特典と共に、お買い得価格で『仁王』を手に入れられるチャンスだ。
詳細については、こちらの記事をチェック!
▼PS4®『仁王』のPS Storeでの予約購入はこちらから
高い緊張感と達成感を味わえるゲームデザインに、アクションのこだわりが詰め込まれている『仁王』の発売日までもう間もなく。次回はPS.Blogスタッフが骨太アクションに挑んだプレイレビューをお届けするので、お楽しみに!
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仁王
・発売元:コーエーテクモゲームス
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:ダーク戦国アクションRPG
・発売日:2017年2月9日(木)予定
・価格:パッケージ版 希望小売価格 7,800円+税
ダウンロード版 販売価格 8,424円(税込)
ダウンロード版 Deluxe Edition 販売価格 11,664円(税込)
・プレイ人数:未定
・CERO:D(17才以上対象)
※ダウンロード版は、発売予定日から2週間は販売価格から10%OFFになります。
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