【PS VR】サウンドとビジュアルの相互作用と融合──『Rez Infinite』インタビュー2<サウンド/振動>

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【PS VR】サウンドとビジュアルの相互作用と融合──『Rez Infinite』インタビュー2<サウンド/振動>

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PlayStation®VRに対応したPlayStation®4用ソフトウェア『Rez Infinite』のスタッフインタビュー。

第2回は「サウンド/振動」をテーマに、開発スタジオであるResonair(レゾネア)のサウンド担当である石田貴子氏と武藤昇氏、振動デザインを担当したMonstarsの浅地義太氏にお話をうかがった。

自宅でも『Rez Infinite』でシナスタジアスーツの疑似体験ができる、複数のコントローラを使ったトランスバイブレーション機能にも注目!

前回の記事はこちら

◆世界が絶賛する共感覚体験の秘密に迫る──『Rez Infinite』インタビュー1<ゲームシステム>

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作曲家2人の音楽的ルーツとは?

石田:小さいころからピアノを習っていて、高校も音楽科のある学校に進学しました。ただ、ずっと作曲に興味があったので、高校3年生のときに作曲科に転科して、そのまま大学でも作曲を勉強しました。

作曲といってもクラシック寄りではなく、ポピュラーな音楽が好きですね。元々やっていたピアノはアカデミックな世界ですが、J-POPを聴くようになってかっこよさを感じて、そういう曲を作りたいと思うようになりました。J-POPから入り、洋楽も聴くようになり、かっこいい音楽への憧れを抱いていたことが、今の自分のルーツになっているかもしれません。

石田貴子
(レゾネア サウンドディレクター)
ゲーム音楽の作曲を主に活動し、本作ではリマスター部分の調整ほか、Area Xの世界観を反映したイメージサウンドを制作。水口哲也氏の作品と縁深く、『Child of Eden』(PlayStation®3用ソフトウェア。2011年発売)や、『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』(PlayStation®Vita用ソフトウェア。2012年発売)のサウンドデザインも担当している。

武藤:僕も小さいころはピアノを習っていました。イギリスのケミカル・ブラザーズに衝撃を受けてから、ダンスミュージックを作りたいと思ったのが作曲家になるきっかけです。

水口さんのGenki Rocketsに応募したときは22歳のころで、すでに作曲家として活動していました。水口さんは応募した僕の曲を聴いて、ヨーロッパの作曲家だと思ったそうです。実際は新潟に住んでいたわけですが(笑)。

これまでゲームに楽曲を提供したことはありますが、世界観やコンセプトを元に開発から一緒に曲を作るのは『Rez Infinite』が初めてです。完成するのは音だけではないので、これまでとは考え方も違いましたが、すべてが新鮮で楽しかったですね。

武藤昇
(レゾネア サウンドアーティスト)
水口氏とは、氏が手掛ける音楽ユニット「Genki Rockets」のリミックスに応募して以来の仲。ライブなどミュージシャンとしての活動から、近年は作曲活動中心にシフトしている。ゲームの開発段階から作曲に携わるのは本作が初。石田氏によるArea Xのイメージサウンドを元に楽曲を制作したほか、ボス戦のBGMを作曲プロデュースした。

世界観をイメージした楽曲が仕上げられていくまで

石田:Area Xの楽曲は、最初に私が世界観を元に曲のイメージを作り、それをベースに武藤さんに仕上げてもらうのが基本でした。私はほかに、オリジナル版Area 1~5のサウンド調整も担当しました。オリジナル版のPlayStation®2から、今回はPS4®へとハードが変わっているので、聞こえ方が違っていた部分をオリジナルに近づけています。

武藤:Area X最後のボス戦のBGMは、私が作曲しています。

石田:Area Xの楽曲は、石原さん(石原孝士氏。レゾネア所属。本作のアートディレクター)のコンセプトアートを元にイメージしています。最初はビジュアルとしてのアートだけを見せてもらって作曲を始めましたが、開発が進んで動いているものを見るとイメージも変わりますし、動きや光に当てはめられるようになってからも受け取り方が変わります。開発がアップデートするたび、少しずつ少しずつ正解を探していった感じですね。

水口さんからのオーダーとしては、「VRになって、音も映像も全てが3Dになる。ユーザーに驚きを与えるような音楽を作ってほしい」というものでした。『Rez』の新作ということで、サウンドへの期待が大きくなるのは感じていました。15年前のゲームなのに、今遊んでも古く感じませんし、そういう音楽を作らなくてはならない。でも、今の時代ならではの要素も取り入れて、アップデートしたものを作りたいと思いました。ものすごく難しい挑戦でしたが、武藤さんに入ってもらって、うまくまとめられたと思います。

武藤:僕へのオーダーは、基本的に石田さんからもらいます。石田さんがベースとして作った曲のデータを受け取って、BGMとして仕上げます。その後、2人でSEを乗せながらまとめていく流れです。ただ、2人だけで作ったわけではなく、石原さんや開発のみなさんからの意見も取り入れて初めて完成させることができました。

ボス戦BGMは豊かな感情を感じさせる楽曲に

武藤:ボス戦のBGMは、よりエモーショナルなものにしたいということで、ボーカルを乗せた曲になることが当初から決まっていました。そのうえで「受胎から誕生」というテーマと、ボスのコンセプトを聞いてイメージをふくらませていきました。

曲のベース自体は早めに完成したのですが、コンセプトに合わせて完成度を上げるための微調整には、かなり時間がかかりましたね。制作中は主に水口さんや石原さんと共有しつつ、開発のみなさんにもたくさんの意見をいただいたことで、完成度を上げることができたと思います。

ゲームとしての共感覚を高めるために

浅地:石田さんと武藤さんには、かなり細かい部分まで相談させてもらいました。「この2拍目を光らせたいので、音楽でも強調させられませんか?」といったように、開発視点でのお願いです。当初、こうしたお願いを勝手にしていいものか、音楽の構成を阻害しないか不安もありましたが、水口さんに相談したところ「どんどん話していいよ」とのことだったので、それからはかなり密なやりとりが行なわれました。

浅地義太
(Monstarsアートディレクター・本作のシナスタジア&3Dアーティスト)
水口氏曰く「シナスタジアの表現に欠かせない人物」。3D表現のほか、振動デザインも担当。

武藤:そういうオーダーをもらうことに対しては、まったく問題ないですね。全体としてのバランスが取れていることが重要ですから。

石田:開発中のゲームを実際に自分で触って、ビジュアルや操作感を確かめながら作曲するのは、ほかのゲームにはない要素ですし、一番楽しかった部分です。一緒にゲーム作りをしている気持ちになれました。

浅地:一般的なゲームの場合、戦闘中や町などテーマに沿ったBGMが作られ、シーンごとに当てはめることが多いと思いますが、『Rez』ではビジュアルやゲームプレイと、サウンドを切り離して考えることができません。自分たちデザイン側にしても、音楽から着想を得て光の動きを作ることが多くあります。ビジュアルからサウンドを調整して、サウンドからビジュアルを調整するような、相互作用をくり返しながら最高品質に近づけていったのがArea Xです。

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『Rez Infinite』から生まれた新ユニット「Hydelic」

石田:私と武藤さんは、『Rez Infinite』のサウンドを担当するにあたり、Hydelicというユニットを立ち上げることになりました。『Rez Infinite』はゲームであっても、そこで表現しているのは”体験”と言えるものだと思います。正式な活動予定はまだ決まっていませんが、これからもHydelicとしてシナスタジア(共感覚的)な音楽表現を追求していければと思っています。

武藤:サウンドとビジュアルの融合は、これまでもGenki Rocketsで追求してきたことですが、Hydelicでの活動では、より共感覚の強い表現を目指すことになると思います。僕と石田さんの個性を合わせて、もっと驚かせるような、もっと感動させるような体験を増やしていきたいですね。

11月13日に行なわれたローンチ・パーティーで披露されたHydelicの初パフォーマンス。

オンとオフの抑揚を重視した振動プログラム

浅地:BGMやプレイフィードバックの振動は、『Rez』の共感覚要素のひとつです。Area 1~5に関してはオリジナル版で設計した振動表現をそのまま使っていますが、Area Xでは新しい振動データを作りました。

曲に合わせて振動データを作っていくことが基本になり、今回とくに気をつけたのはオンとオフの抑揚です。音がない場面では振動もありませんが、曲の盛り上がりに応じて振動が起こり、より強調することができます。

トランスバイブレーション機能でシナスタジアスーツの疑似体験も!

浅地:『Rez Infinite』の振動要素として、トランスバイブレーション機能があります。これまで特にはアナウンスしていないので、トランスバイブレーションとはどのような機能なのか、この機会にぜひ紹介させてください。

トランスバイブレーションは、操作とは別のコントローラーを使い、さらなる振動体験ができる機能です。まずはユーザーが手に持つものとは別に、DUALSHOCK®4またはPlayStation®Move モーションコントローラーを最大3つまで用意し、PS4®本体にコントローラー2~4として認識させます。その後、オプションの「controls」にある「trance vibration」設定をオンにすれば準備完了です。

ゲームプレイ中、手に持ったコントローラーのほかに、コントローラー2~4からも振動を感じられるようになります。ここで特徴的なのは、コントローラー1は音楽とプレイフィードバックの振動が起こるのに対し、それ以外のコントローラーからは音楽の別パターンの振動が起こることです。異なる振動パターンが起こるコントローラー2~4を体に密着させることで、立体的な振動体験を味わえるようになっています。

オリジナル『Rez』で開発したトランスバイブレータをイメージしたものですが、当時のデバイスはPS2®とUSB接続していたのに対し、今回はワイヤレスで扱いやすくなっています。また、イベントでお披露目しているシナスタジアスーツの疑似体験もできます。

Area 1~5、Area Xともに利用できるので、コントローラーを複数お持ちの方は、ぜひ試してほしいと思います。

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第3回「ビジュアル」は11月22日(火)公開予定です。お楽しみに!

▼PS4®『Rez Infinite』のPS Storeでの購入はこちらから

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Rez Infinite

・発売元:エンハンス・ゲームズ (Enhance Games)
・フォーマット:PlayStation®4
・ジャンル:共感覚シューティング
・配信日:好評配信中
・価格:ダウンロード版 販売価格 3,400円(税込)
・プレイ人数:1人
・CERO:A(全年齢対象)

※PlayStation®VR対応

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『Rez Infinite』公式サイトはこちら

© 2016 Enhance Games
© 2001 SEGA

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