「東京ゲームショウ2016」が開幕した9月15日(木)、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA) プレジデント 盛田厚のインタビューが行なわれた。11月10日(木)に発売するハイエンドモデルPlayStation®4 Pro、小型・軽量化を果たした新型PlayStation®4に加え、10月13日(木)に発売が迫るバーチャルリアリティ(VR)システムPlayStation®VR、若年層を中心に普及が進むPlayStation®Vitaといったラインナップを語ると共に、「プレイステーション」の展望、今後の施策を提示する。
◆小型・軽量化を実現した 新型「プレイステーション 4」(CUH-2000シリーズ)2016年9月より29,980円で発売
◆さらに進化した高品質なPS4®体験を提供する「プレイステーション 4 Pro」(CUH-7000シリーズ)発表
新型PS4®で横方向に、PS4®Proで上方向に「プレイステーション」ユーザーを拡大したい
──まず、新たなカラーバリエーションも誕生したPS Vitaについてうかがいます。PS Vitaの現状、展望をお聞かせください。
昨年、PS Vitaが達成したことは非常に大きいと感じています。2年ほどかけて地道に展開してきましたが、『マインクラフト』のおかげで子どもを中心にPS Vitaユーザーを大きく拡大できました。イベントでアンケートを取ると、まだ『マインクラフト』を持っていないお子さま、PS Vitaを持っていないお子さまもいるようです。理論上の単純計算だと、さらにこの倍の台数が売れてもおかしくありません。PS Vitaと『マインクラフト』のキャラバンはこれからも続け、子ども層へのアプローチとその拡大に力を入れていきます。
──9月13日(火)に開催した「2016 PlayStation® Press Conference in Japan」では、子ども向けのキャラクターを創出したいという話もありました。この施策も、子ども層へのアプローチの一貫でしょうか。
子ども層にリーチしたいというのは、私が2年前にSIEJAに着任した時からの思いです。子どもの頃からゲームのコントローラーに慣れ親しんでいるかいないかは非常に重要です。例えば、大人になってからピアノを始めた人は、子どもの頃からピアノを弾いていた人に太刀打ちできません。それと同じことなのです。
しかし私が知ったのは、子どもは意外とコントローラーを使ってゲ―ムを遊んでいないという事実でした。ですから、子ども層の拡大を目指したのです。ここへ来てPS Vitaが子どもたちに広がったので、今度は子どもたちに愛されるキャラクターを作りたい。なおかつソニーグループ内のエンタテインメント企業と連携することで、さらに面白いことができるのではないかと考えました。
──具体的には、どのような展開を考えていますか?
来年ぐらいには、なにかお話ししたいですね。ゲーム、アニメ、音楽、リアルなど、いろいろな展開を広げたいですし、できればそれらを連動させていきたいです。
──その一方で、PS4®Proのようなハイエンドモデルも発売されます。
キッズプロジェクトは子どもたちに訴求するものですが、PS4®Proと新型PS4®の2ラインナップではいかにして「プレイステーション」のユーザーを拡大するかが狙いです。9月には日本でもタイトルがそろい、年末にかけてユーザーの方々が待ち望んでいたゲームがほぼ出そろうのではないかと思います。そのタイミングに合わせて、マジックプライスの新型PS4®を発売しました。ソフトを待っていた方、購入を悩んでいた方へ一気に拡大していきたいですね。
また、「プレイステーション」は今までライフサイクルが長かったのですが、パソコンやスマートフォンは、1年ごとにアップグレードして新機種が発売されます。そんな中で、市場環境やユーザー環境の変化を感じていました。ライフサイクルの中間地点でハイエンドモデルを発売することで、PCユーザー、アップグレードされていくPCを横目で見ている方に、PS4®の買い替えを促し、さらに楽しんでいただこうという目的です。新型PS4®で横方向、PS4®Proで上方向への拡大を達成したいと考えています。
──PS4®Proは、どのような層に受け入れられると考えていますか?
PS4®をすでにプレイしていて、さらにハイエンドを望む方や、PCゲームのユーザー、4Kテレビを買おうとしている、もしくは持っている方です。基本的には、ハイエンドのゲームを楽しみたいユーザーがターゲットです。
「プレイステーション」を根幹に、PCやスマートフォンにも広がりを
──先日、ストリーミングゲームサービスPlayStation™NowがPCに対応し、スマートフォン市場に向けた新会社フォワードワークスが設立されました。PC、スマホは、SIEJAにとってどのような存在になっていくのでしょうか。
ゲームというエンタテインメントを楽しむという意味では、どれも変わりません。ゲームを生業にしている企業として、より大きい市場に挑戦したほうがいいと考えています。PS NowがPCに対応したのは、ハードを持っていなくても「プレイステーション」の世界を楽しめるよう、体験を広げていくためです。フォワードワークスは、我々のノウハウを活用してスマホにゲームを提供するという考えです。
──タッチポイントを増やすために、SIEJAのタイトルをスマホに移植するという動きはありますか?
具体的に言えることはありませんが、フォワードワークスでは我々がスマホゲームを作ったらどうなるのかをお見せしたいと考えています。発表できる時が来たら、ご案内します。
──移植ではなく、新たにスマホゲームを開発することもありえますか?
いろいろな可能性があると思います。「プレイステーション」が作るとこんなに面白いのか、と思っていただけるようなものを作っていきたいです。
──「プレイステーション」という根幹があり、そこからいろいろなプラットフォームに展開を広げていきたいというお考えでしょうか。
我々は、ゲームは最高の体験が提供できるメディアだと考えています。CMではありませんが、できないことができるから楽しい。少なくとも今のテクノロジーでは、できないことができるのはコンソールゲームならではだと思います。いかにプラットフォームが広がろうと、最高の楽しさを提供するのが「プレイステーション」だということを忘れてはいけないと思います。
──PS4®がライフスタイルの革命を起こすには、何が必要だと考えていますか?
現状では、我々の目指すところはまだずっと先にあります。ユーザーにとって、いかに新しい楽しみが発生するか。そのためには、もっとみなさんが楽しむ場を作らなければなりません。そこで取り組んでいるのが「PlayStation®祭」です。e-sportsも盛り上がっていますが、我々の「PlayStation®祭」では、ゲームに強い方々が戦うだけでなく、もっとみなさんが気楽に楽しめる場にもしたいと考えています。先日公開したVision Movieのように子どもたちが楽しめたり、発表を行なったりしてコミュニケーションが広がる場を作り提供したいのです。
「PlayStation®祭」Vision Movie
https://www.youtube.com/watch?v=9UKf_jbk4j0
もちろん、それらを見る楽しみもあります。現在はYouTubeが盛り上がっているので、ゲーム実況なども含め、ひとつのムーブメントにしていきたいですね。ゲーム対戦を見て盛り上がり、みんなで応援する。国や地域ごとに戦う。インターネットを通じ、さまざまなボーダーを越えた対戦を考えていきたいです。こちらから押し付けるとうまくいかないので、まずは場を作ることから始めたいと思います。
PS VRは来年以降が正念場。さまざまな可能性を探り、テクノロジーのさらなる進化を目指す
──続いて、PS VRについてうかがいます。発表から2年間を振り返っての感想をお聞かせください。
ハードウェアのテクノロジー自体も進化していますし、コンテンツの作り方もみんながノウハウを蓄積し、洗練されてきています。初めてのチャレンジですから、みんな作り方もなにもわからないところからスタートしたはずです。「よくここまで来た」と思っている方も多いでしょう。しかし、まだ発売を迎えておらず、市場もありません。我々としては、これからが頑張り時です。
──予約も好調ですが、ここまでの盛り上がりを予測していましたか?
思っていた以上に好調です。現在は手に入りにくい状況ですが、できるだけ早く解決しなければならないと考えています。PS VRは将来に向けて、さまざまな可能性のある商品。ですから「今年はこれだけ売れたからよかった」というのではなく、購入した方に満足していただき、周りに自慢したいと思っていただくのが重要です。それが来年以降の課題になるでしょう。ハードウェアだけでなくコンテンツのクオリティも大事なので、フォローしていかねばならないと思っています。
──スポーツ専門の映像配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」がPS4®に対応することも発表されました。PS VRへの対応は考えていますか?
いろいろな可能性があると思いますが、今言えることはありません。ですが、PS VRでできると楽しいだろうと思われることは、実現したいと思っています。我々としては、ゲームの楽しさを伝えたい。そして、各家庭に「プレイステーション」がある環境を作りたい。PS VRは、こうしたビジョンを実現できるテクノロジーだと考えています。
──PS4®ProとPS VRをセットで割引販売することは考えていますか?
今言えることはありません。ただ、どのような販売方法がお客さまに喜ばれるのかは、常に考えなければならないと思っています。
──PS4®Pro、新型PS4®、PS VR、PS Vitaとラインナップも増えています。最後に、「プレイステーション」ビジネスの今後の展望をお聞かせください。
ハイエンドのユーザーの方にはPS4®Pro、価格が下がるのを待っていた方、タイトルを待っていた方には新型PS4®、お子さまにはPS Vita、ゲームの世界を広げるPS VR。我々としては、これらトータルで「プレイステーション」を拡大したいと考えています。ぜひ「プレイステーション」を一緒に盛り上げていきましょう。
コメントの受付は終了しました。