さらに広く深まる、『Bloodborne The Old Hunters』の世界――。スタチュー・アートブック制作者にインタビュー!【特集第5回/電撃PS】

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さらに広く深まる、『Bloodborne The Old Hunters』の世界――。スタチュー・アートブック制作者にインタビュー!【特集第5回/電撃PS】

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PlayStation® Awards 2015でGold Prize、ユーザーズチョイス賞でジャパン部門、アジア部門の計3部門で受賞したアクションRPG『Bloodborne』。全世界で210万本以上を売り上げた本作は、11月24日にDLC『The Old Hunters』が配信、12月3日に完全版『The Old Hunters Edition』が発売。現在多くのプレイヤーたちが、本作独特のダークな世界観を舞台に”死闘”を楽しんでいる。

今回はゲームの外、関連グッズとなる「スタチュー」と、「アートブック」にフィーチャー。実際の制作に携わった、フィギュアの原型師の方と、電撃攻略本編集部にお話をうかがった。どちらのグッズも『Bloodborne』制作チームによる徹底的な監修により、きわめて高いクオリティを誇る逸品。魂を削って本グッズの制作にあたっている職人たちの熱量が、少しでも伝われば幸いだ。

■ゲーム世界に息づく空気感を再現した、ハンター・スタチュー

語り手:原型師・赤尾慎也氏
「メタルギア ライジング リベンジェンス/ 雷電 1/6スケール PVCスタチュー」等、様々なフィギュア、スタチューの原型を手掛ける。

――造形の基本について質問させてください。どんなふうにお仕事を依頼され、そこからどのように仕上げていくのでしょう?

基本的にはフィギュアなどのメーカーさんからの依頼で、サイズやポージングの指示、設定資料を基に造型し、段階ごとに版権元さんの監修を経て原型を作り上げていきます。僕自身最初のお仕事はワンフェス(造形のイベント)で、とあるメーカーの方に声をかけて頂いたのがきっかけでした。フィギュアのメーカーであるGeccoさんとは企画段階から「このキャラ作りたいですか?」とか「何か作りたいモノあります?」と、自由なスタンスで、好き勝手やらせていただいています。

工程的にはアルミ線などを芯に、スカルピーと呼ばれる樹脂粘土(オーブンなどで焼くと固まる粘土)を盛り付けて造型していきます。これを基本に細部や強度が必要な部分などはエポキシパテも使います。その他金属素材など、使えそうなものは何でも使います。今回のハンター・スタチューではスカルピーでの造型がほとんどですが、強度と精度が必要なノコギリ鉈や、襷がけのベルトにはエポキシパテを使っています。

――実際の制作に当たり、何を参考にされましたか?

提供していただいた開発中の資料を基本に制作しました。また、衣服などの布や革部分の質感、しわの入り方などについては、写真や実物も参考にしましたね。土台の石畳も本物を参考にしています。ですが、結局はゲームをプレイするのが一番参考になりましたね。当たり前ですが、物語の世界観や主人公の佇まいなどを感じないことには、フィギュアとして再現できませんので。

――金属製装備の模様や小物など、細部まで細かく作り込まれていると感じました。これらの部品ができていく過程を教えてください。

懐中時計や首に巻かれたチェーンは市販の細いネックレスチェーンを使用していますが、その他は粘土で作っています。金属の質感は「もし実在したら」と製造工程を考えて造形します。具体的には、「それは鋳造なのか、鍛造なのか、磨いた滑らかな物なのか」といったところですね。ノコギリ鉈の表面のような腐食やすり減り具合なども同様です。他にも革ベストのバックルや籠手の装飾などは、金属っぽい塗装を施したときに陰影が出るように、荒めに凹凸を残すように造形しています。まぁ、ザックリ仕上げればそれらしくなるんじゃないかと(笑)。

――では、布の生地はどのように作られているのでしょう?

コートの生地は、本物の布の表面をシリコンゴムで転写し、それを押し付けて作ります。これを基にヘラで調整して破れやほつれ、汚れといったディテールを加えます。よく見ると少しオーバースケールなんですが、このくらいディフォルメを利かせたほうが、雰囲気が出ると思っています。

――銃器に使われている木材、金属の古びた感じにもこだわりを感じます。

歴戦の狩人が長年使い込んだ質感が出るよう、意識しました。木材は木目の筋や流れを派手目に彫り、手で握った形にえぐりました。手で触れる部分はつるんと丸まっていて、それ以外の部分はささくれて見えるようコントラストを付けることで、使い込んだ感じを再現しています。金属部分も石などにぶつけてへこんだ傷や、獣の爪でえぐられた跡など違いがわかるようにしました。

――仕掛け武器の変形機構などはどのように再現しましたか?

じつはノコギリ鉈の変形機構はGeccoさんに丸投げで、製品になる過程で再現してもらいました。当初は原型でも回転して開閉できるようにいていたのですが、素材の強度不足で状態を保持するのが難しくて破損しまくりだったため、刃の部分を開いた状態と閉じた状態のノコギリ部分を2種作りました。製品ではABSという素材の強度と弾力で、気持ちよく開閉しますよ!

――これらのなかで苦労した点はございますか? また、とくにこだわったポイントは?

今年2月に開催された『Bloodborne』の発表イベントに最初の原型を間に合わせるよう、急いだこともあるんですが、当初は僕の勝手なイメージで、今よりもゴツめのS字立ちでヒーロー然とした雰囲気に作っていました。

↑左:発表イベントで展示された原型 右:最終的な原型

イベント後の監修ではその点と、「獣をバッタバッタと切り倒して一息ついた雰囲気」という修正の指示をいただきました。結果的にほぼ全身にわたって作り直しになったので、その点は苦労したといえば苦労したのですが、その成果はあったと実感しています。

――ゲームデザイナー監修のもと作られたと聞いていますが、デザイナー陣とのやりとりのなかでとくに記憶に残っていることがございましたら教えてください。

画像監修では僕が撮影した原型の写真に修正点を描き込んでいただいたり、別途スケッチを描きおろしていただいたり、手厚くご対応いただきました。その際、微妙な角度や線の強弱などの情報を反映させるほど、クオリティがあがっていくのをすごく感じましたね。それはもう、自分の造型が上手くなったと勘違いしそうなくらいに。あと、私はフロム・ソフトウェアさんのゲームタイトルのファンでもありますので、最初にお会いしたときはアガっちゃってガチガチでしたね(笑)。

――今後『Bloodborne』関連商品を作る予定はありますか?

先日発表のあった、『武器コレクション(仮)』を進めています。どの武器にしようかGeccoさんとラインナップを思案中なんですが、どれも魅力的なデザインですので、選択に苦労しています。まわりの方にも意見を求めるのですが、みんなゲームで自分が使っている武器を推すので、あまり参考にならないという(苦笑)。あと、これは完全に僕個人の好みですが、アメンドーズを作りたいですね。Geccoさん、作らせてくれないかなぁ? それと、人形ちゃんもいいですね。僕には作れそうにないですけども(笑)。

――造形というお仕事について、とくに知ってほしい点があれば、ぜひ教えてください。

僕もフィギュアメーカーであるGeccoさんも、『Bloodborne』のような世界観のある作品が好き、というのがあって、フィギュアを作っています。原作者の方々や原作ファンの皆さんに気に入っていただき、手にしてもらえたら、何よりもうれしいですね。そしてご購入いただけたら、なおうれしいです!

■グッズ情報

【通常版】

Bloodborne/ 狩人(ハンター) 1/6スケール・スタチュー
価格:36,800円(税込)
仕様:塗装済み完成品スタチュー
サイズ:1/6スケール(全高約32cm)
発売予定:2015年12月
予約受付中

【数量限定版】

Bloodborne/ 狩人(ハンター)1/6スケール・スタチュー パドル オブ ブラッドVer.
価格:36,800円(税込)
仕様:塗装済みスタチュー
サイズ:1/6スケール(全高約32cm)
発売予定:2016年2月
予約受付中

「Bloodborne ブラッドボーン/ 狩人(ハンター) 1/6スケール・スタチュー」商品紹介ページはこちら

■ユーザーの楽しみ方を広げるアートブック

語り手:編集者・木原大輔 (株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス 電撃攻略本編集部)

――普段このようなゲームの資料集を作られるときのお仕事の内容について教えてください。どんな風に企画を提案し、どのように仕上げていくのでしょうか?

まず、ユーザーとしてゲームを楽しむことにしています。ですから担当するゲームソフトは自分で購入しますし、プレイも発売日からということが多いです。発売前からの制作が必要な「攻略本」とは異なる点ですね。そしてゲームをプレイするなかで、「この作品の魅力はここだ」とか「この部分はぜひ深く見たい・知りたい」という方向性が見えてきます。それが購入のニーズに足ると思えば、編集部を通してメーカー様へ企画提案ということになります。ゲーム内から抽出できる情報はともかく、絵素材はメーカー様からご提供いただくしかありませんから、その量によって本の構成やページ数を調整していきます。最終的に目指すのは、作品のファンの方々の興味を満たせる内容ですね。

――今回、『Bloodborne』の関連書籍を手がけるにあたって心がけたことはありますか?

『Bloodborne』の作品世界というものはとても繊細で、プレイを繰り返してもなお謎に満ちています。ふと思い返して足を踏み入れたくなる、あの狂熱ともいうべきプレイ感覚が独特ですよね。そんな作品の魅力を支える「徹底して作りこまれた世界」。特に、ゴシックホラーのひとことでは括れないビジュアルを整理して見てみたいという考えが第一にありました。幸いフロム・ソフトウェア様から届く絵素材が質量ともにハイテンションなので、なんとかこの熱量をファンのみなさんにお届けしたいと思います。

――「Bloodborne Official Artworks(仮)」の内容を教えてください。

イラストを大きく掲載するために、大判のA4サイズです。そして本編『Bloodborne』から、先日配信されたDLC『The Old Hunters』までのデザイン画稿を集めた内容になります。画稿は500点以上を収録し、ページ数は現状240ページ前後を予定しています。ページを増やすと価格にも反映されますし、いろいろ厳しいのですが、とてもページが足りなくて……。

――とくにこだわって制作している部分を教えてください。

書名に「Bloodborne Official Artworks(仮)」と銘打ったように、アートブックとしての作りにこだわるため、関係者と相談を重ねていわゆる文字情報はなるべく収録しないことになりました。ゲーム内で明言されていない不確定の事柄について、ユーザー間で自由に想像し、議論できることも『Bloodborne』の大きな魅力のひとつですし、さきほども挙げた「繊細」な世界の根本でもあります。文字情報も関連書籍に期待される要素のひとつでもあったと思いますが、そういった理由からご理解いただければと思います。そのぶん、書籍単体でも作品世界を追体験できるような構成を意識しています。

また、このアートブックを本作の関連アイテムとしてふさわしいものとするため、特殊な加工を施したカバーを使用する予定です。まだ確定ではないので用紙の名前などは控えておきますが、大判の書籍に使うのは反則の用紙がありまして、それが実に『Bloodborne』に合うんですね。本来ですと品質管理の面でNGの用紙なのですが、印刷会社様と工夫を重ね、なんとか実現できそうなところまで来ています。けして派手な仕掛けではないのですが、編集部としては初めての仕様であり、年月を重ねることで価値が高まっていくと思います。書店店頭で見かけた際は手に取っていただきたいですね。

――ほかに注目してほしいところはありますか?

仕掛け武器や銃器に関しては、特にページを割いて紹介しています。三面図や変形機構など、造形の資料にも使用していただけるボリュームで掲載しますから、全世界のフィギュア原型師やコスプレイヤーの方々は、ぜひ注目してください。

「世界」で思い出しましたが本書内の項目名など、すべて日本語と英語を併記しますから、海外のファンの方も安心してお買い求めいただければと思います。ここ、英語にしておいてもらえますか(笑)。

――最後に『Bloodborne』のユーザーに向けてひと言お願いします。

「Bloodborne Official Artworks(仮)」は2016年2月下旬の発売を目指しています。おかげさまで発売決定の情報が出た際、大きな反響をいただきました。ファンの方々の期待にこたえられる1冊に仕上がるよう、関係スタッフは全力で取り組んでいます。どうぞお楽しみに。

■グッズ情報

Bloodborne Official Artworks(仮)
価格:未定
仕様:A4判・240ページ予定
発売予定:2016年2月下旬

「Bloodborne Official Artworks(仮)」予約ページはこちら

■完全版、DLC、好評発売中!

PlayStation® Awards 2015でGold Prize、ユーザーズチョイス賞でジャパン部門、アジア部門、の計3部門で受賞した『Bloodborne』は現在、完全版が好評発売中。また、ディスク版の初回限定版はコレクター垂涎の特製BOXのほか、DLCの追加エリアに流れる5曲を聴けるミニサウンドトラックCDや本編序盤の攻略が記されたガイドブックまでついてくる超豪華仕様だ。さらにPS Storeでは、2016年1月5日(火)まで、PlayStation® Awards 2015の受賞を記念して、本作の無料DLCを配信中。本作をはじめるには、うってつけのタイミングだ!

▼PS4®『Bloodborne The Old Hunters Edition』(本編+追加コンテンツ) の購入はこちらから

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