『Bloodborne』で繰り広げられる数々の死闘。その死闘感を演出する音楽に迫る。
この作品の音楽プロジェクトは、JAPAN Studioとフロム・ソフトウェア、そしてSCEAのプロダクト・デベロップメント・サービス・グループ(PDSG)とのコラボレーションにより実現しました。
【写真:英国AIR スタジオでの『Bloodborne』オーケストラ収録の様子】
これからは『Bloodborne』を遊んでいない時にでも、あの手に汗握る胸の高鳴りをいつでも体験できることになるのです。
『Bloodborne』のオリジナルサウンドトラックの発売を記念して、PlayStation®.Blogチームがフロム・ソフトウェアの齋藤司氏、北村友香氏、鈴木伸嘉氏、ニール・ブロムカンプ監督の映画『エリジウム』のサウンドトラックも手掛けた作曲家のライアン・アモン氏、そしてPDSGのピーター・スカチューロ氏から制作秘話を伺ってきました。
──『Bloodborne』オリジナルサウンドトラックの発売おめでとうございます! どんな影響やインスピレーションを感じて、楽曲の方向性や構成は決まっていったのでしょうか?
アモン:作品のビジュアルイメージとしてはビクトリアンゴシックに、ほんの少しのファンタジー要素が加わった世界観。ゲーム制作者からはイメージとなる音楽要素を聞きアートの色調を参考にしながら音の色調も自分なりに選んでみました。若いときに初めて買ったサウンドトラック がブラム・ストーカーの『ドラキュラ』でした。その作品の作曲家であったヴォイチェフ・キラールが最近亡くなったので、今回のプロジェクトの参加は僕なりのトリビュートでもあります。
齋藤:「死闘感」「ホラー」といったキーワードは初期からあったので、それらのキーワードや、各々のボスやマップのデザインからイメージを膨らませて楽曲を書いていきました。「ヴィクトリアン」という世界観が決まってからは、それに合わせて大きくアレンジを変更していきました。例えば、オルガンが入っていると、ゴシックな雰囲気を感じ取れてしまいます。楽器の構成に制限を持たせることで、よりヴィクトリアン調の近世寄りな世界観を表現したいと考えました。具体的には前述のオルガンや、木管楽器は使用しない。金管楽器でもトランペットは使用しない、などです。華やかさよりも、暗く枯れた雰囲気を目指しました。
──今回の『Bloodborne』の音楽は「作品の価値を高めるものだ」と称賛されていますが、音楽そのものがストーリーを語るような意図があったのでしょうか。
アモン:もちろんストーリーの内容については深く話し合いました。
なぜ主人公がこの旅にでているのか、どれくらい助けもなく孤独な状態でこの旅路についているのか。この寂しくも孤独で美しい世界の中で、些細なディテールのひとつひとつが大切に表現されていると思います。
【写真(左から):齋藤司氏、鈴木伸嘉氏、北村友香氏、ライアン・アモン氏、ピーター・スカチューロ氏】
──ボスバトルに合わせて強烈なテーマ曲があります。各ボスのテーマ曲はそれぞれ個性的ですが、どのように作曲なさいましたか? ボスキャラクターのデザインやバックストーリーが影響しましたか?
鈴木:デザインや背景は非常に影響を与えていると思います。私が担当した再誕者「The One Reborn」は、凄惨な大量生贄の儀式であり、その点でホラー感、気持ち悪さの演出というのは大前提の下、プラスして荘厳さ、大物感といった所がテーマにありました。そのため、低音楽器のリフで大物感を、クワイヤーで荘厳さを出そうというシンプルなイメージを最初に持ちつつ、作曲に当たりました。
また、このボス戦の曲は、ディレクターのOKが出るまで、実に1ヶ月以上の時間を要してしまったこだわりの作品です。是非注目して聴いて頂けたらと思います。
北村:私は主にディレクターから貰った各ボスの設定とキャラクターデザインを見て、自分の中でゲーム中の戦闘シーンやマップの風景、対峙したプレイヤーの感情などを思い浮かべながら作曲していきました。
中でも「Ebrietas, Daughter of the Cosmos」は宇宙、終末感、神に近い存在、というテーマがあり、作曲する当初はひたすら「世の終わりの気持ち…」で作業をしていたこともありました。
──アメリカ、イギリス、日本の音楽家たちとの制作活動による難しさはありましたか?
スカチューロ:音楽の話をするときには必ずチャレンジが伴うものですが今回の場合、言葉の壁で更に解釈の違いや誤解を生む可能性があったことがチャレンジングでした。その状況があったために、よりJAPAN Studioの制作チームと密にコミュニケーションをし、その結果素晴らしいものが出来上がったと思っています。
──この形で仕事をすることで、良いことはありましたか?
スカチューロ:今回のプロジェクトに関わった全員が文化交流を楽しみ、アイデアの共有で多くのものを得られたと思っています。日本の作曲家たちはとてもユニークで新鮮な音楽のアプローチを見せてくれました。そしてアメリカの作曲家たちは映画のサウンド感覚を注入してくれました。最終的に色々なアイデアのフュージョンにより表現された『Bloodborne』の音楽は、私たち全員の誇りです。
──最後に、ご自身が作曲された音楽は、きっと何年にもわたりファンの悪夢に登場すると思っております。それについてどんなお気持ちになりますでしょうか?
齋藤:とても光栄なことだと思います。『Bloodborne』のサウンドトラックが、実際にファンが見る悪夢の音楽として流れるまで、たくさん『Bloodborne』の音楽を聞いて楽しんで、世界観に浸りきって欲しいと思います(笑)
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